東京都、令和6年度相談概要を公表 インターネット通販に関する相談が引き続き最多
東京都は30日、令和6年度(2024年度)相談概要として、昨年4月~今年3月までに受け付けた東京都内の相談情報をPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)で分析、公表した。
24年度の東京都内の相談受付件数は、東京都受付分が既報のとおり2万8,126件、区市町村受付分が10万4,416件で、合計13万2,542件だった。これは前年に比べて2.2%増加している。
インターネットに関連する消費者トラブルに絞ると、3万1,774件と依然として高い水準で推移している。特にSNS広告をきっかけとした契約や課金、情報誘導型の手口が多く報告されている。年齢・性別を問わず広い世代に影響が及んでおり、被害の多くは「お試し」のつもりが高額請求へとつながる構図に共通性が見られる。
契約当事者の年代別では50歳代が最も多く、次いで60歳代、20歳代と続いている。特に近年の特徴として、SNS広告をきっかけとした契約トラブルが増加傾向にあり、関連相談は全体の23.2%に達した。前年度からは1.9ポイントの上昇で、SNSを入り口とした消費者被害の拡大が鮮明だ。
健康食品の「お試し」が定期購入に
定期購入に関する相談は5,783件と5,000件を超えており、なかでも「健康食品」に関する相談が2,443件と多く、前年度比145.9%と急増している。ダイエットや機能性をうたったサプリメントが主な対象となっており、一見無料や格安に見える広告が定期購入契約に直結する手口が目立つ。
契約当事者の62.5%は女性であり、年代別では50歳以上が78.8%を占めている。高齢女性を中心に「いつの間にか継続購入になっていた」という相談が多発しており、販売手法の透明性や説明責任が問われる。
医療脱毛を中心に美容医療相談が急増
美容医療に関する相談件数が3,168件に達し、対前年度比168.7%と急増した。契約当事者の属性を見ると若年層の相談が目立ち、29歳以下の若者が全体の50.1%を占めた。年代別では20歳代が1,420件と最多で、全体の44.8%に上った。
年代別の増加率では39歳以下と70歳以上が共に150%超と顕著。世代を問わず関心とリスクが高まっている様子がうかがえる。男女別では女性の割合が圧倒的に高く、78.3%(2,480件)を占めた。
相談内容の内訳では、「倒産」や「クレジットカード」に関する項目の件数が前年から200%以上に急増しており、背景には医療脱毛事業者の破産報道があるとみられている。施術途中の消費者が返金を求めて相談窓口に殺到したとされ、事業者の経営破綻が消費者被害へ直結する典型例となった。
とりわけ医療脱毛に関する相談は深刻。相談件数は2,022件と全体の約64%を占め、対前年度比では231.1%と激増した。契約当事者の61.4%が29歳以下で、年代別では20歳代が1,117件と55.2%を占めるなど、若者の被害が集中している。
また、60歳未満のすべての年代で150%以上の増加が見られ、幅広い層が医療脱毛を利用している実態が浮き彫りとなった。男女別では女性が1,584件と全体の78.3%を占めており、美容医療分野における女性の脆弱性が強く示される結果となっている。
子どものゲーム課金が家庭トラブルに
「インターネットゲーム」に関する相談も806件と高止まりの状態が続いている。契約当事者の48.7%が20歳未満であり、18歳未満がそのうちの約9割を占めている。相談の多くは、未成年の子どもが保護者の同意なしに高額課金していたという内容である。
男女別では66.4%が男性となっており、低年齢層のゲーム依存や家庭内トラブルの温床となっている状況がうかがえる。
「害虫駆除サービス」に関する相談も798件と急増しており、前年から157.1%の増加となっている。とくにインターネット検索で「550円から」と表示された業者に依頼したところ、現場で不安を煽られ、最終的に十数万円を請求されたという事例が多い。
この他にも近年、トイレつまりや鍵レスキューなどの緊急レスキューに関する相談が目立つ。
【編集部】