エフェドリン微量混入、製造元が謝罪 松浦薬業、「原因究明を進めている」
自社工場で製造した健康食品の原材料の一部から、医薬品成分エフェドリンが微量だが検出されたことを受け、製造者の松浦薬業㈱(愛知県名古屋市、松永祥吾社長)は6月30日午後、謝罪する文書をウェブサイトに掲載した。原因については、同じ工場でエフェドリンを含む医薬品を製造していたことによる意図しない混入が生じたと考察しつつ、現在、「原因究明を進めている」とした。
医薬品成分が微量混入していた原材料は、㈱タカマ(山口県下関市)の委託を受け、松浦薬業が製造した、サラシアオブロンガ・エキス末B(以下、サラシアB)の一部ロット(2111、21112、2206、2206A、2207、2210、2210A)。
松浦薬業は、同じ工場でエフェドリンを含む生薬の「麻黄」を使用した医薬品(葛根湯エキス)を製造していたとされ、原料の受け入れから殺菌までの製造工程のどこかで混入した可能がある。タカマは先月25日、当該ロットの自主回収を発表。販売先に返品を呼び掛けている。
松浦薬業が30日公表した文書によれば、エフェドリン微量混入発覚の端緒は、茨城県が実施した買い取り調査の結果だった(6月26日付け既報)。同社が2022年6月に製造したサラシアBを配合した錠剤形状の食品から、茨城県薬務課によれば、エフェドリンが0.51μg/g(0.00051mg)検出。松浦薬業によると、原材料のサラシアBにおける検出量は1グラム当たり3.8μgだった。タカマによれば、22年6月以外の製造ロットでは、検出量が1μgに満たないものもある。松浦薬業は文書で、「健康被害の可能性は極めて低い」との考えを示すとともに、「現在までに健康被害の報告はございません」とした。
自主回収すべきか、判断迫られる事業者
極めて微量だとしても、医薬品成分が含まれる食品は、医薬品医療機器等法が禁じる無承認無許可医薬品に該当する恐れがある。ただ、行政機関は今のところ、検出量が微量のため健康への影響はほとんど考えられないためか、回収を命じるなどの法的な対応を行っていない。それでも、サラシアBの当該ロットを使用した製品を自主回収する動きが健康食品業界で広がっている。
自主回収について、ウェルネスデイリーニュースの既報以外では、これまでに明治薬品㈱(富山県富山市)が『健康きらりサラシアプラス』、リブ・ラボラトリーズ㈱(東京都文京区)が『機能性表示食品サラシア』、うすき製薬㈱(大分県臼杵市)が『エラグッドプレミアム』、㈱野口医学研究所(東京都港区)が『血糖クリア』のそれぞれ一部ロットの自主回収を発表している。これらはすべて機能性表示食品だが、それ以外の健康食品(その他のいわゆる健康食品)でも、ユーグレナ㈱(東京都港区)が『バイオヘルステック サラシノール1.2mg』の一部ロットの自主回収を進めている。
タカマが販売したサラシアBは、機能性表示食品からその他のいわゆる健康食品まで幅広い食品に使用されているとみられ、当該ロットを使用した製品を自主回収する動きが今後さらに広がる可能性がある。ただ、そもそも原材料における検出量が極めて微量のため、実際に消費者が口にする製品では検出されない可能性もあり、製品分析を独自に進める動きも広がっている模様だ。
【石川太郎】
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