容器包装「安全性審査手続」を告示 パブコメの結果も公表~消費者庁
消費者庁は25日、「器具及び容器包装の原材料に含まれる物質の含有量等に関する安全性審査の手続」(令和7年内閣府告示第102号)を告示し、同日より施行した。本手続は、食品用器具や容器包装に使用される新規物質について、安全性審査を経て使用を認める制度の導入に伴い定められたもの。4月28日、内閣府告示第91号により、ポジティブリストに未掲載の新規物質については個別に申請し、内閣総理大臣が定める安全性審査の手続を経た旨を公表することにより使用を認める仕組みが導入されている。
消費者庁は告示に先立ち、手続き案に対して寄せられた5件のパブリックコメントも公表している。告示の要点は以下のとおり。
① 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)において規定される器具および容器包装の安全性審査手続について、本告示によりその詳細を定めたこと。
② 内閣総理大臣は、開発者等から新規物質の使用に関する申請があった場合、器具・容器包装中の含有量、または食品への溶出量に関して、安全性審査を実施することとした。
③ 審査にあたっては、食品安全委員会の意見を聴取する。
④ 申請様式および添付資料の内容について、明確に定めた。
⑤ 審査の結果、人の健康を損なうおそれがないと認められた場合、その旨を消費者庁のホームページにて公表する。
⑥ 新たな科学的知見が得られた場合などには再評価を行い、健康被害の懸念が認められるときは、その結果を同様に公表する。

公表されたパブリックコメントと消費者庁の対応
消費者庁は、4月23日~5月23日にかけて告示案に対するパブリックコメントを実施した結果、5件の意見が寄せられた。複数の意見において、審議会の議事録や資料の非公開が決定過程の透明性を欠くとの指摘があった。また、審査の根拠となる科学的データが不十分であることや、消費者への情報提供が不十分であるとの懸念も示された。
これに対し消費者庁は、審査に関する資料や議事録などは公開しており、食品安全委員会による評価が実施された場合には、その結果も含めて消費者庁ウェブサイトで公表する旨を回答した。
新規物質が「基材」なのか「添加剤」なのか、新規物質リストのイメージでは分かりにくいとの意見があった。
消費者庁は、食品添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の別表1として定めるポジティブリストに掲載されていない物質として安全性審査の対象となる物質は、基本的には添加剤になると想定している。基材の追加については、「食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について」(令和5年11月30日付課長通知)の改正によることを想定していると答えている。
企業からは、製品構成の詳細が開示されることで企業秘密や知的財産権が侵害される懸念があるとし、必須の情報の公表範囲を求める声もあった。
消費者庁は、申請者から提出された情報については、企業秘密に配慮しつつ物質ごとに公表の可否を検討するとしている。
一部の意見では、米国FDAが認可したポリエチレンなどの再生プラスチック材料に関する安全性評価手続についての簡略化を求めた。これについて消費者庁は、今後検討を進めると回答した。
【田代 宏】
パブコメの結果はこちら(e-GOVより)