機能性表示食品制度の大改正を議論 WNG主催シンポジウムに30社超が参集
九州の事業者が一堂に集結、活発な交流と情報共有の場に
㈱ウェルネスニュースグループ(WNG、東京都港区)はきのう18日、機能性表示食品制度の大改正をテーマに福岡市内でシンポジウムを開催した。福岡における同社のリアル会場開催は実に5年ぶりとなる。九州を代表する複数の通販会社、全国区の受託製造企業、原料メーカーなど30社を超える関係者が参集した。懇親会にも半数以上が参加し、時間を延長するほどの盛り上がりを見せた。
シンポジウムでは、福岡バイオコミュニティ推進会議の「機能性表示食品届出に向けた研究会」で講師を務める㈲健康栄養評価センターの柿野賢一氏、メタボローム解析技術で機能性表示食品の届出支援を行うヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱(山形県鶴岡市)の山領(やまりょう)佐津紀氏、WNGの石川太郎記者が講演した。
紅麹問題を踏まえ、エビデンスの質に警鐘―柿野氏が講演
柿野氏は、「今後の機能性表示食品に求められるエビデンスの質~PRISMA2020準拠も踏まえて」と題して講演した。
昨年起きた紅麹問題による健康被害の広がりを受けて、機能性表示食品の信頼性とエビデンスの質の重要性を強調した。3年前の日経クロステックによるシステマティック・レビュー(SR)に対する指摘、元・国保旭中央病院医長の染小英弘氏が昨年、届出論文のスピンに対して行った指摘などを取り上げ、論文の質の低下、質の低いSRの模倣、ハゲタカジャーナルの安易な利用などを問題視した。これからは益々、批判的吟味のためのスキルや第三者による公正な評価、事後チェック指針が重要だとした。その上で、エビデンスには鮮度がある。古い方法論を使用すると信用されない可能性があるため、最新の方法論を用いることが大切だとした。

メタボロミクスによる届出支援―HMT社が解析技術を紹介
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱(HMT)は、山形県鶴岡市に拠点を置くベンチャー企業。山形県と鶴岡市の誘致を受けた慶應義塾大学発のベンチャー企業として、2003年に設立された。メタボロミクス(メタボローム解析)という最先端の解析技術を武器に、食品開発を支える注目の企業だ。山領氏は、同技術を駆使した事業の概要について紹介した。
メタボローム解析とは、生体内に存在する「代謝物質」を網羅的に測定・解析する技術のこと。食事や運動、腸内細菌の働きなどで生まれる低分子化合物――例えばアミノ酸、ビタミン、脂肪酸などを対象に、体内で何が起きているのかを“可視化”する。

科学的根拠の見える化と価格―具体的手法も公開
この技術は、食品や化粧品、医薬品など多くの研究現場で活用されており、人間だけでなく動物、植物、微生物といった多様なサンプルが対象となっており、同社はメタボロミクスを中心に、脂質やタンパク質、マイクロRNAといった分子を網羅的に調べる「ミックス解析サービス」を展開。さらには、体臭などの皮膚ガス分析、化粧品成分「エクソソーム」の解析、食品分野で注目される「オートファジー認証」に関する評価試験の受託など、ユニークなサービスも次々に開発している。
特に現在、同社が力を入れているのが「機能性表示食品」の開発支援だ。科学的根拠の取得から届け出支援まで、包括的にサポートするサービスを提供しており、その具体的な手法や価格について紹介した。
パネルディスカッションも熱気―NGトークに会場沸く
シンポジウムでは、WNGの石川記者が司会を務め、パネルディスカッションも行われた。裏話に踏み込んだNGトークの連発に会場が湧いた。

左から山領氏、柿野氏、石川記者
【田代 宏】