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合成樹脂製容器の規格、改正告示公示 安全性確保へ、消費者庁がパブコメ公表

 消費者庁は30日、「食品、添加物等の規格基準の一部改正(器具・容器包装関係)」に関するパブリックコメント(意見募集)の結果を公表した。改正案は、食品と接触する器具や容器包装の安全性確保を目的に、規格基準の見直しを図るもの。
 昨年11月8日から12月9日までの約1カ月間にわたり広く国民から意見を募集した。パブコメ公示と同時に改正告示(令和7年内閣府告示第95号)を公示し、改正案を関係各所に通知した。

 パブコメに提出された意見は合計15件で、制度改正に直接関係のない内容126件も寄せられた。消費者庁は寄せられた意見に対して、内容を要約した上で見解を整理し、別紙にて公開している。

総溶出物試験の導入に賛否

 今回の改正では、主に合成樹脂製器具・容器包装に対する試験法や規格の見直しが焦点となり、とりわけ「総溶出物試験」の新設が業界関係者から注目を集めている。
 賛成意見としては、「過マンガン酸カリウム消費量」に代わり、「総溶出物試験」を導入することで、より網羅的かつ実態に即した有機物の管理が可能になるとの評価があった。また、強度等試験の一部削除に関しても、製造現場での適正製造管理(GMP)による個別対応が可能であるとの見解から、過剰な試験要件を整理する方向性に理解を示す声もあった。

実務負担や安全確認の不安も

 一方、反対意見では、現行試験法で問題が発生していないにもかかわらず新規格に一斉に切り替えることに対する懸念が相次いだ。特に中小規模の試験機関や製造業者からは、「すべての流通製品を再試験することは非現実的」との指摘や、「現行の試験結果の有効性を維持してほしい」との要望が寄せられた。

 また、強度等試験の削除についても、安全確認手段の一つとして必要であり、試験法が存在しなくなることで法適合性が判断できなくなるとの不安が示された。さらに、器具・容器包装の「遮光性」や「気体透過性」に関する基準の不明瞭さに対する具体的な定義の提示を求める声も挙がった。

消費者庁、段階的施行と経過措置を明確化

 こうした意見を受けて、消費者庁は総溶出物試験の導入対象を「個別規格が設定されていない合成樹脂製の器具・容器包装」に限定し、施行日は2026年6月1日とすることを明示した。また、2027年6月1日以前に製造・輸入・販売・使用された器具等については改正前の規格によることができるとし、実務上の混乱を回避するための経過措置も設けた。

 さらに、既存の試験結果や衛生証明書についても、同年6月1日前に販売、製造、輸入又は営業上使用されている器具・容器包装については、改正前の規格基準によることができるとする経過措置を設けるとしている。

定義の明確化と国際調和に課題も

 コメントでは、規格文書中の「酸性食品」や「食品疑似溶媒」などの用語定義が不明確であるとの指摘も多く、消費者庁は通知文書にてこれらの定義を明示する方針を取っている。また、海外サプライヤーとの調整やWTO通報との整合性に関する意見もあり、今後の国際的調和に向けた丁寧な情報提供が求められる。

【田代 宏】

パブリックコメントの結果はこちら(e-GOVより)

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