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大麦若葉の国内一大産地は九州に 鮮度が大事、収穫から24時間以内に一次加工

 3月下旬、快晴。遠くから聞こえる小鳥のさえずりが心地よく響く。ここは阿蘇山のふもと、熊本県大津町。東に阿蘇山、西に熊本市、ちょうどその中間あたりに位置する。目の前に広がるのは、青汁の原料になる大麦若葉を育てる圃場(ほじょう)だ。

 まもなく収穫。おおよそ40~45センチほどに育ったところで刈り取り、青汁へと加工していく。青汁に加工するオオムギは、穂が出る前の若葉の状態で収穫しなければならない。だから「大麦若葉」と呼ぶ。

 青汁になる前の大麦若葉を食べた経験はあるだろうか。繊維質が多いため、食べやすいものでは決してないのだが、エグ味や苦味はほとんどない。青汁は美味しくないものだと思っている人はきっと意外に感じる。

 「まずい!もう一杯!」の名キャッチコピーも今は昔。ビタミンやミネラルといった必須栄養素を手軽に補給でき、とりわけ食物繊維が多く含まれるためお通じを良くする働き(整腸機能)を期待できる青汁は今、特別な煽り文句が無くとも消費者に響く健康食品の代表格である。

 その中でも大麦若葉の青汁は、大麦若葉に豊富に含まれる食物繊維を関与成分、あるいは機能性関与成分にするかたちで、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品といった保健機能食品としても製造・販売されている。つまり、大麦若葉そのものの機能性をうたうことができている。

 そのように、大麦若葉に含まれる食物繊維を機能性関与成分にしない、機能性表示食品の大麦若葉青汁もある。体重減少サポートなどの機能性が報告されている成分を後から配合したり、健康な人の免疫機能を維持する働きが報告されている成分を加えたりといった大麦若葉青汁。消費者の支持を得て、売り上げを大きく伸ばす通信販売の商品も現れている。

 だが、そのようにメジャーな存在である大麦若葉の青汁が「できるまで」を知っている人は果たしてどれだけ存在するだろうか。

 どのように栽培、収穫されているのか、収穫された大麦若葉はどのように青汁へと姿を変えていくのか──それを知るために東京から熊本までやってきた。農業の盛んな熊本は、青汁の原料となる大麦若葉の国内有数の産地。とくに、阿蘇山に近く、標高の高い寒冷地では、手間暇のかかる有機栽培が活発に行われている。

 取材に訪れたここ大津町には、大麦若葉の圃場だけでなく、その一次加工を専門にした工場も存在する。一次加工とは、収穫された大麦若葉を「粗い粉末」に加工するまでの工程を指す。それが終わると、場所を変え、より微細な粉末にする二次加工などが行われ、市販される大麦若葉の青汁へと姿を変える。

 一次加工工場が圃場の近くに置かれているのには、もちろん理由がある。野菜と同じように、青汁に加工する大麦若葉にも「鮮度」が求められるからだ。

 この工場には、県内に点在するいくつもの圃場で栽培、収穫された大麦若葉がすぐに運び込まれる。そして、ただちに一次加工に入る。かつ、その加工は、かならず「収穫から24時間以内」に終える。大麦若葉の鮮度を可能な限り保つために、この工場はそのようなタイムリミットを自ら課している。

 24時間以内に加工を終えるといっても、量が少なければ造作もないだろう。だが、この工場は、早ければ11月頃から始まり、6月頃まで続く大麦若葉の収穫期に入ると、毎日のように大量に大麦若葉を受け入れる。実際、取材に訪れた日も、収穫されたばかりの大麦若葉がシートに保全されながら大型トラックに載せられて運び込まれてきた。

 そのように大量の大麦若葉を加工できる能力を備えるこの工場を運営しているのは、ここから車で約1時間半の佐賀県鳥栖市に生産拠点を構える、サプリメントや健康食品の受託開発・製造大手の㈱東洋新薬(服部利光社長)である。

 トクホや機能性表示食品の開発や製造などで知られる同社が、大麦若葉の青汁を安定的に顧客と消費者へ届けるために熊本で取り組む、農業と一体となった健康食品づくりを次回から詳しく追っていく。

(つづく)

【石川太郎】

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