曽根博仁教授が紅麹事件の教訓を問う 第79回日本栄養・食糧学会大会で緊急シンポジウム
5月23日~25日にかけて、名古屋大学東山キャンパス(名古屋千種区)を会場に「第79回日本栄養・食糧学会大会」が開催される。今年の大会テーマは「データサイエンスが拓く栄養・食糧学の未来」。臨床医や研究者、企業関係者など多様な参加者が集まり、基礎と臨床をつなぐ栄養・食糧科学の最前線が活発に議論される。
注目を集めているのが、24日に開催される緊急シンポジウム「健康食品・機能性食品の安全性確保に向けて」。同シンポジウムの座長を務めるのは、新潟大学大学院医歯学総合研究科の曽根博仁教授で、開幕セッションにおいて「紅麹サプリメント事件」が投げかけた課題について、包括的な視座から講演を行う。
健康食品全体への社会的信用失墜を招いた小林製薬㈱(大阪市中央区)の紅麹サプリメントによる健康被害に関して、「最低限の医療知識を欠いた保身的な企業姿勢に医療者や為政者が振り回され、早期対策が打てなかったため健康被害が拡大した人災的側面は否めない」と厳しく指摘。単に「不運な食中毒事件」、「当該企業だから起きた特殊事故」として矮小化し幕引きを図るべきではないと警鐘を鳴らしている(以上、要旨集より)。
シンポジウムでは、曽根教授の問題提起を起点に、各分野の専門家を招き、データベースの利活用や産業団体の役割、行政の監視体制など多角的な視点から議論が交わされる。紅麹事件を機に、健康食品をめぐる制度・科学・倫理の再構築が求められている。

※「講演要旨集」より