東京都内で食中毒事案が相次ぐ 福生市の飲食店で有毒植物、江東区小学校ではノロウイルス
東京都は、4月末から5月初旬にかけて都内で発生した2件の食中毒事案について、原因や対応状況を明らかにした。1件は有毒植物バイケイソウの誤食による中毒、もう1件は小学校の給食を原因としたノロウイルスによる集団感染である。都がきのう2日、公表した。
バイケイソウ混入による植物性自然毒食中毒(福生市)
4月30日、福生市に所在する飲食店「ちあき商店」(東京都福生市)において、利用者が提供された「山菜のおひたし」を喫食後、30分ほどで吐き気や嘔吐の症状を発症し、医療機関を受診・入院した。幸いにも容体は安定し、すでに退院している。
提供された料理には、4月29日に患者とは別の客が福島県で購入した「オオバギボウシ(ウルイ)」と栃木県で「オオバギボウシ」と思って採取したものを合わせて同30日持ち込んだもの。
営業者は、持ち込まれた山菜を「お浸し」として調理し患者に提供したところ、実際には猛毒のバイケイソウが混入していたことが判明した。バイケイソウは見た目が山菜に酷似しており、誤食による中毒事例が毎年発生している。
西多摩保健所の調査により、バイケイソウに含まれる有毒成分「ジェルビン」が原因であることが特定され、都は食品衛生法第6条違反に該当するとして、店舗に対し5月2日~7日まで6日間の営業停止を命じた。
同店舗は当初から自主的に営業を自粛していたが、都は再発防止のため、食用と非食用植物の識別について専門知識が必要であることを改めて周知し、飲食店に対しては持ち込み食材の取り扱いに一層の注意を求めている。
学校給食が原因のノロウイルス集団食中毒(江東区)
4月23日と24日に、江東区立浅間竪川小学校で提供された給食を喫食した児童および教職員、調理従事者のうち、6歳~56歳の男性と6歳~64歳の女性合わせて72人が腹痛・下痢・嘔吐・発熱などの症状を訴えた。うち1人が一時入院したが、現在、全員が快方に向かっている。
江東区保健所の調査では、発症者の便からノロウイルス(GⅡ型)が検出されたことに加え、給食以外に共通する飲食は確認されなかったため、当該給食が原因であると断定された。
提供されたメニューは、ごはん、さばのカレーしょうゆ焼き、春雨ソテー、みそ汁、牛乳(4月21日)、ナポリタントースト、春キャベツのシチュウ、にんじんとツナのゆで野菜、オレンジゼリー、牛乳(4月22日)。
この給食は、給食調理業務を受託している㈱藤江(東京都江東区、益子純子社長)が校内の調理施設で調理していた。都は、同社の衛生管理体制に問題があったと判断し、食品衛生法の規定に基づき、調理施設を5月2日~4日までの営業停止処分とした。ただし同施設は先月28日から自主的に営業を自粛している。
【編集部】