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大麻草由来ビジネスが迷走 国内向けてんかん薬の治験「失敗」で暗雲か?

 東京大学大学院医学部皮膚科学教室(東京都文京区)が2年前に設置した「臨床カンナビノイド学講座」が、3月31日付で廃止していたことが分かった。

日本化粧品協会が東大に反発 

 同講座は、(一社)日本化粧品協会(東京都港区)とともにCBD製品の調査・分析による知見と、植物性カンナビノイドの基礎研究および臨床研究を通して、カンナビノイドの皮膚に対する作用機序を明らかにし、皮膚疾患に対する有効性のエビデンスを創出していくとして、2023年4月10日に設立されたもの。
 廃止の理由について東大の皮膚科学教室を取材したところ、電話口に出てきた女性から「答えることはできない」との回答が小声で返ってきた。そう言うと、彼女は逃げるように電話を切った。
 他方、日本化粧品協会は公式ホームページ上で「東京大学皮膚科学教室HPの『臨床カンナビノイド学講座が廃止された旨の広告』について」とする声明を発表。同講座の廃止は東大側の一方的な告知であり、改廃については今のところ交渉中だと真っ向から反論している。同協会に対しては今、今後の方針についてその対策を質問しているところだ。

文春がスクープ報道、国会でも問題に

 同講座を巡っては、週刊文春3月13日号が「東大皮膚科カリスマ教授が求めた1500万円“違法エロ接待”」というタイトルで衝撃的なスクープを報じている。同12日に開かれた厚生労働委員会では、立憲民主党の大西健介議員が委員として質疑に立ち、これらの共同研究にまつわる性接待疑惑について、およびCBD利権を巡る天下りの温床疑惑についても、元キャリア官僚の実名を挙げるなどして指摘している。

「治験の失敗」海外メディアが報道

 カンナビノイドに関しては昨年8月、ジャズ・ファーマシューティカルズ(旧GWファーマ)社のてんかん治療薬『エピディオレックス(Epidiolex)』が、日本における後期臨床試験(第3相試験)で主要目標を達成できずに失敗したとのニュースが米国の医薬専門誌『Fierce Pharma』によって報じられている

 我が国では昨年12月に大麻取締法が改正され、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とする規定が整備されたところだが、臨床試験の失敗に伴い、医薬品としての使用が大幅に遅れる恐れがある。厚労省医薬局監視指導・麻薬対策課にその影響について聞いたところ、臨床試験の成否については関与しておらず、あくまで事業者の問題とし、「大麻取締法の改正によって、大麻由来医薬品についても禁止規定がなくなったので、大麻に由来する医薬品であっても製造販売承認を受ければ使用ができるということになっている。エピディオレックスは大麻由来医薬品のため、製造販売承認を受ければ使用ができる」と繰り返し説明した。要するに、改正大麻取締法自体は臨床試験がどうなろうと変わらないということである。

 しかし、厚労省の資料「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について」(下記PDF参照)には、「エピディオレックス」という固有名詞が使用されており、同医薬品に大きな期待を寄せていたのは明らか。今後、改めてエピディオレックスの治験が再開されるのか、それとも世人があずかり知らぬかたちで販売承認への道が開かれるのか、目が離せない。編集部ではこれからも取材を継続する。

【田代 宏】

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