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マーケティングでヘルスケア業界を支援 ビッグデータを活用しプロモーション、インテージヘルスケア・村井社長、田村グループリーダーに聞く

 2019年に、インテージグループのヘルスケア領域を集約するかたちで設立された㈱インテージヘルスケア。一般用医薬品や医療用医薬品、健康食品・サプリメントなどの市場調査などを手掛ける。豊富なデータと積み重ねた経験、先進的な知見を生かし、ヘルスケア産業界の発展に貢献する同社。他社との共同プロジェクトも進行している。(取材日:2025年2月13日)

ヘルスケア課題を解決、一気通貫の情報を提供

――まず初めに、御社の事業内容について教えてください。

村井 当社は、一言で言うとマーケティングリサーチの会社です。インテージグループの中で、特にヘルスケア領域に特化してマーケティングリサーチを行っています。
 ヘルスケアというと定義が広くなってしまうのですが、当社サービスのメインクライアントは製薬会社で、中でも医療用医薬品メーカーの占める割合が多いです。しかし、昨今、OTC医薬品やサプリメント、さらには健康を意識した食品を取り扱う事業者による当社サービスの利用も増えております。
 ヘルスケア領域に関しては当社が主体となり、消費財について調査しているインテージとともにグループ全体としてより良いサービスを提供していこうと考えております。しかし昨今、ヘルスケア領域に取り組むのは、何も医薬品、食品業界だけではありません。例えば、自動車や住宅、アパレルとまさに衣・食・住とあらゆるジャンルに共通しています。ヘルスケアに取り組まない業界はもはや無いのではないでしょうか。そのため、当社が主体となって、業界を問わず各事業者が抱えるヘルスケアに関する課題解決のお手伝いをしているということです。
 一方、業種の枠を超えてヘルスケアに取り組むようになったとは言え、まだまだ、医療、医療用医薬品、一般用医薬品、健康食品といった具合に、マーケットが縦で割れるような考え方が一般的というのも事実です。しかし、生活者の実態はそうではありません。病気になれば病院に行きますが、病気をより早く治すために食生活や睡眠に気を配りますし、病気にならない健康を保つために健康食品を取ったり、適度な運動を心掛けたりします。当社としては、これらを1つの大きなマーケットと捉え、一気通貫した情報をサービスとして提供したいと考えております。マーケットの主体は生活者ですから、この一気通貫した情報を、医薬品メーカーに、健康食品メーカーに、その他ヘルスケアに参入したい企業にも提供し、意思決定をサポートしたいと考えています。そこにビジネスチャンスがあると思っています。

――生活者の行動パターンを分析し、それをヒントに商品やサービスの提供に役立ててもらうということですね

村井 花粉症を例に出します。通院する人もいればドラッグストアで薬を購入する人もいます。不快感を緩和させるためのサプリメントやその他食品を購入する人もいます。それぞれがどのような特徴がある人なのか。また、通院する人はその後にどこで何をするのか、ドラッグストアでどんなものを購入するのか、どういうサプリメントや食品を購入するのかなど、花粉症をキーワードにするだけでもさまざまな情報を得ることができます。いちメーカーだけですと、どこでどれぐらい、どの年齢層に購入されているのかなどその商品に関連する情報は分かりますが、他の商品や購入者の行動との関連性といった横断的な情報を得ることはできません。そうした当社にしかできない情報をヒントとして提供しています。当社は物を作っている訳ではありませんので、物を使う生活者の動き、行動変容をしっかりと捉え、エビデンスに基づいた情報を発信していきたいと考えています。

市場実態をレポート、ヘルスケアを横断的に分析

――サプリメントの利用者は増えていますか。

田村 昨年から今年にかけての市場規模は、ほぼ横ばいでした。利用者数は若干減りましたが、1人当たりの購入額が少し増えたことで、市場規模は維持されています。
 コロナや物価高で経済的に厳しくなってきている人が多いため、市場規模がシュリンクしているというデータもありますが、機能性表示食品のヘルスベネフィット別に見ますと伸びているものもあります。トップ3が、認知症予防、脳機能の改善、目の健康です。
 予防や未病対策として、薬ではなく身近な存在としてサプリメントが使用されているようです。これらの伸長の背景にあるのは高齢化であり、高齢化を前提にした需要の増加は引き続き大きなトレンドになると思います。


――認知症対策ということで言えば、「脳トレ」のようなものも人気があります。その辺も情報として掴んでいますか。

田村 そこが当社の強みです。「脳トレ」と言っても、雑誌や本のようなものから、ゲーム、スマホアプリだったりさまざまです。そういったさまざまな要素を横断的に調査しています。健康のお悩みや関心事に対して、どのような対策や対処をされているか、サプリメントや食品、飲料だけでなく、アプリ、フィットネスなどの健康サービスまで詳細に把握しています。
 それによって、今後はこの媒体にはこのサプリメントの広告、このアプリにはこの食品やサービスの広告といった具合に、より効果的な広告出稿ができる可能性があります。例えばダイエットや体型維持のためにフィットネスジムに通う人も増えています。フィットネスに通う人はどのぐらいサプリメントを好むのか、どのくらい美容器具を使うのかなどといった分析を行うことが可能です。フィットネスジム内やランニングマシンなどに設置されているモニターに効果的なCMを流すことでより効率的な訴求が可能になるでしょう。機能性表示食品のCMでも良いかもしれません。

2025年の新たな取り組み、共同プロジェクトが進行

――2025年の新たな取り組みとして、NTTドコモとの連携をされるということですが。

田村 NTTドコモとは2023年にパートナーとなって以来、インテージグループ全体として、色々取り組みをしております。インターネットモニターのデータを両社で活用できないかや、ヘルスケアでも広告代理店である協和企画も巻き込んで一緒にプロジェクトを進めている所です。そういう意味では新たな取り組みというよりも、それぞれが完全に一体化し、NTTドコモのアセットを使い、より特徴的なサービスを展開できないかと検討を進めているところです。
 例えば、NTTドコモは「dポイントクラブ会員」という制度が有名です。会員数は24年時点で1億会員を超えています。そのリソースを生かしたマーケティングを一緒に考えています。情報の取り扱いという点で、高い壁はありますが、いわゆる行動ログと購買記録を組み合わせたマーケティングを行い、各個人にマッチしたプロモーションを仕掛けるということができないかと思っています。
 いわゆるビッグデータや顧客情報を活用したマーケティングは、大手食品メーカーや小売店などでも、今まさにインテージの方が先行して実施していますが、例えば薬局や病院の後に何を買っているのか、先ほどのフィットネスとサプリメント購入の関係など、ヘルスケアに特化したバージョンを当社で検討しています。
 まだ詳細をお話しできないのが残念ですが、5月にフォーラムが開催されますし、今後、少しずつ公表していく予定です。

――ありがとうございました。

【聞き手・文:藤田勇一】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ13階(本社)
TEL:03-5294-8393
URL:https://www.intage-healthcare.co.jp/
事業内容:一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査など

(冒頭の写真:村井啓太社長、文中の写真:田村選矢氏)

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