農業基本計画、国民の声を公表 「食料・農業・農村基本計画案」意見募集の結果
農林水産省は11日、「食料・農業・農村基本計画(案)」に関するパブリックコメントの結果を公表した。今回寄せられた多くの意見は、食料自給率の向上、所得補償の強化、小規模農家への支援、種子の国産化といった食と農を取り巻く現実的課題に対して、国民の切実な声を反映する内容となった。
食料自給率の目標に関する意見では、「2030年度に45%」という供給熱量ベースでの自給率目標を支持する声に対して、「45%では不十分、50~100%以上を目指すべき」、「種子や肥料の国内自給体制を整えるべき」といった反対意見が相次いだ。
これに対して農水省は、45%は現実的で達成可能な数値とした上で、KPI(重要業績評価指標)を活用し、実効性ある施策とともに検証を進めると説明している。
所得補償・直接支払い制度については、「水田活用の直接支払い交付金」の再編を通じて構造転換に資する予算確保の方針を支持する意見に対し、「欧米並みの所得補償を実現すべき」、「農家が安心して農業を続けられるよう戸別補償制度を復活させるべき」との声が多く上がった。
農水省は、水田政策の見直しとともに、効率的かつ継続的に所得補償を実施する方向性を維持する方針としている。
種子・飼料・肥料の自給に関する意見では、稲・麦・大豆の種子自給率100%維持の方針に賛意が示されたものの、反対意見としては野菜や飼料用作物など他作物の種子も含めた全面的な国産化を求める意見が強く、「F1種子や輸入依存の排除」、「種採り農家の支援」が必要との声が多かった。
ゲノム編集と農薬の使用に関しては、ゲノム編集など先端技術による生産性向上の可能性を評価するとの意見に対し、安全性が未確立なまま推進することに懸念が集中した。「表示義務の導入」、「予算配分の見直し」などを求める声があった。
これに対して農水省は、罰則を伴う表示の義務付けは行っていないなどと説明。科学的知見に基づいて適切に対応し、消費者に対しても丁寧な情報提供を進める姿勢を示している。
小規模農家・中山間地域への支援について、農業の多様性維持の観点から、地域の中小規模農家に対する支援強化を求める意見、大規模化に偏りすぎた農政方針に対する批判や農業法人よりも個人農家に着目すべきとの声が上がったのに対し、農水省は、規模にかかわらず多様な農業者の役割を認め、集落機能維持のための施策も進める方針を示した。
パブコメの結果はこちら(e-GOVより)