PIO-NET データによる傾向分析 年齢層で消費者トラブルの傾向顕著に
消費者庁・新未来創造戦略本部(徳島市)は21日、「PIO-NET データを用いた消費生活相談の地域傾向分析」を公表した。昨年1月~3月にかけて登録された情報を基に、テキストマイニング技術を用いて分析を行った。
今回、19歳以下、20~39歳、40~64歳、65歳以上と年齢別の傾向を分析したが、年代を問わず、誤解を招くオンライン広告による意図しないサブスクリプションに関する苦情が多数報告された。
若年層の19歳以下では、スマートフォンを通じたゲーム課金に関する相談が非常に多く、保護者の知らないうちに高額請求が発生する事例が目立っている。SNS広告をきっかけに化粧品などの通販商品を軽率に注文した結果、定期購入契約が成立していた。
20~39歳では、SNSやネット広告を起点とした副業勧誘や美容エステ契約に関する相談が多発している。中には、個人情報を悪用されることを恐れる声もある。特に副業サイトやFX関連の契約については、高額請求や解約困難といった事案が散見される。
具体的には、脱毛エステ契約で「永久施術」と聞かされたが実は期限付きだった。収入増加や美容への関心が高い層であり、特に契約時の説明不足や誇大広告によるトラブルが多いようだ。
40~64歳では、ネット通販での定期購入トラブルや電話勧誘による通信契約変更に関する相談が多く寄せられている。単発購入のつもりが実際には定期購入だったというケースが目立つ。また、通販サイトで商品が届かないといった問題も顕著である。
65歳以上では、自宅への電話勧誘・詐欺、訪問工事勧誘、ネット通販の定期購入トラブルが多く、悪質商法の標的になりやすいことが浮き彫りとなった。特に「電話」をキーワードとする相談が全国的に圧倒的多数を占めている。
報告から、年齢層によって消費トラブルの傾向に明確な違いがあることが分かる。未成年や若年層ではSNSやスマホアプリ経由の軽率な契約が多く、40代以上ではネット通販の定期購入や電話勧誘トラブルが顕著である。特に高齢者は電話・訪問販売を通じた悪質商法の標的になりやすく、世代ごとに異なるリスクに応じた啓発と支援が必要だ。
※テキストマイニング技術は、コンピュータサイエンス、言語学、統計学のスキルを組み合わせてテキストデータを分析し、テキストに含まれる情報のパターンや関係性を明らかにすることで価値ある洞察を抽出するために用いられる技術のこと。