日健工、サプリ受託製造25社で船出 設立記念祝賀会開催、野々垣会長「連携による業界の発展目指す」
今年1月に発足した、サプリメントなど健康食品の受託開発・製造(OEM/ODM)分野の業界団体、(一社)日本健康食品工業会(野々垣孝彦会長=アピ㈱社長。以下、日健工)は、会員企業25社での船出となった。11日夜、設立記念祝賀会を都内(大手町サンケイプラザ)で開催。会員企業の代表者や品質保証担当者などをはじめ、国会議員や行政機関からの来賓者を合わせて関係者約130人が参加し、会場は熱気に溢れた。
祝賀会の開催挨拶に立った野々垣会長は、日健工は「連携による発展をキーワードに、2つの軸で活動に取り組む」と強調。1つ目の軸として、行政・業界団体・アカデミアのみならず「原材料メーカー、販売企業を含めた連携」を挙げた。2つ目の軸は「受託開発・製造企業同士の連携」で、「業界の垣根を超えて知見を共有し、業界全体のレベルアップを図る」とした。
この日、日健工の新たな役員体制と、役員企業を除く会員企業20社の顔触れが初めて公表された。役員には、健康食品OEM/ODM大手の㈱東洋新薬(本部:佐賀県鳥栖市)が新たに加わり、服部利光社長が副会長に就任。副会長はアリメント工業㈱(山梨県南巨摩郡)の若尾修司副会長との2人体制になった。会員企業20社は以下のとおり(50音順)。
・㈱アスナロ化工研究所(大阪府藤井寺市、志賀吉浩社長)
・アダプトゲン製薬㈱(岐阜県多治見市、林博道社長)
・ウキシマメディカル㈱(静岡県富士市、坂倉久慶社長)
・㈱ウメケン(大阪市北区、谷江和弘社長)
・伊豆食文化公園㈱(静岡県伊豆市、佐野憲悟社長)
・㈱エフアイコーポレイション(岐阜県羽島郡、塩谷知明社長)
・協和薬品㈱(富山県富山市、蜷川雄一社長)
・㈱サプリメントジャパン(東京都西多摩郡、白石泰路社長)
・㈱三協(静岡県富士市、石川俊光社長)
・㈱シェフコ(東京都板橋区、菅俣大助社長)
・住岡食品㈱(静岡県浜松市、住岡豊彦社長)
・太陽エフ・デイ㈱(徳島県徳島市、米田篤史社長)
・中日本カプセル㈱(岐阜県大垣市、山中利恭社長)
・ニチヤク㈱(静岡県富士宮市、石川喜久社長)
・日成興産㈱(大阪府東大阪市、藤田忠社長)
・日本タブレット㈱(京都府宇治市、藤川真志社長)
・ビーエイチエヌ㈱(東京都千代田区、恩田明広社長)
・備前化成㈱(岡山県赤磐市、清水富江社長)
・堀内食品工業㈱(埼玉県入間市、髙栁哲夫社長)
・㈱リプロス(岐阜県岐阜市、中川篤史社長)
原材料の開発、製造も行う企業の名前も見られる。以上20社に加え、役員企業のアピ㈱(岐阜県岐阜市、野々垣孝彦社長)、㈱AFC-HDアムスライフサイエンス(静岡市駿河区、淺山雄彦会長)、アリメント工業㈱(山梨県南巨摩郡、小泉達也社長)、三生医薬㈱(静岡県富士市、今村朗社長)、㈱東洋新薬の最大手を含む大手5社を加えた25社で当面の活動を進める。具体的な活動内容は、まずは役員企業間で協議しつつ、来月開催する総会で諮り、決定していく方向だ。課題抽出などを行うための分科会の立ち上げも検討している。
来賓に5人の国会議員ら 関係省庁からも多く参列
午後6時から始まった祝賀会には多くの来賓が参列。来賓に名を連ねた国会議員は、自民党の自見はなこ参院議員、公明党の濵地雅一衆院議員、立憲民主党の寺田学衆院議員、国民民主党の浅野哲衆院議員、自民党で経済産業相の武藤容治衆院議員(公務のため欠席。代理で秘書官が参列)の超党派。また、自民党の加藤勝信衆院議員と自民党元総裁の菅義偉衆院議員が祝文を寄せた。
関係省庁からは、消費者庁の食品衛生・技術審議官をはじめ食品衛生基準審査課長、食品表示課長、同課保健表示室長が揃って参列。厚生労働省の食品監視安全課長、農林水産省の新事業・食品産業部食品製造課長、経産省商務・サービスグループヘルスケア産業課長も来賓に名を連ねた。
また、アカデミアからは、岐阜医療科学大学薬学部の宗林さおり教授、(公社)日本ヘルスケア協会の今西信幸代表理事が参列。業界団体からは(一社)健康食品産業協議会事務局長、(一社)日本栄養評議会(CRNジャパン)理事長、(公財)日本健康・栄養食品協会常務理事及び健康食品部長、(一社)国際栄養食品協会理事長が参列した。日健工は、既存の業界団体や原材料メーカーなどとどのように連携しながら健康食品業界全体の健全な発展を目指すのか。新たな健康食品業界団体の今後の動きが注目されている。

<野々垣会長(=写真)、開会挨拶の要旨> 私たちは単なる製造請負ではない
「健康食品業界は今、かつてない転換期を迎えている。昨年の紅麹問題は、私たち業界全体に大きな試練をもたらした。消費者の信頼をどう取り戻し、業界の持続可能な未来を築いていくのか。その答えを示すのは、健康食品業界をモノづくりの形で長年支え続けてきた、まさに、ここに集う私たち受託開発製造企業1社1社の行動にかかっている。
本工業会は、『連携による発展』をキーワードに、2つの軸で活動に取り組み、健康食品の安心・安全の確立と消費者の信頼の抜本的な向上に努める。
1つめの軸は、行政・業界団体・アカデミアに加え、原材料メーカーや販売企業を含めた『連携』。健康食品の安全性と品質向上、あるいは消費者の信頼の向上は、製造現場だけで完結するものではない。原材料メーカーの品質管理、販売企業の適正な情報提供、そして、行政やアカデミアの知見を組み合わせて、業界全体としての信頼を築いていくことが極めて重要だ。私たちは、関係省庁、既存の業界団体、アカデミアの皆様とも緊密に連携しながら、法制度や品質管理基準の適正化に貢献していく。
2つめの軸は、受託開発製造企業同士の『連携』。これまでは、各企業が個別に独自のノウハウを活かしながら、品質向上や技術革新に取り組んできた。しかし今こそ、同業の垣根を越えて、知見を共有し、業界全体のレベルアップを図る時だ。
私たち受託開発製造企業は、単なる製造請負ではない。健康食品のモノづくりにおける品質と安全性を支える『要』として、業界全体の信頼性向上に貢献する責任を担っている。だからこそ、品質管理の高度化、安全性向上に向けた取り組みを、企業の枠を超えて協力しながら積極的に推進し、受託開発製造企業全体の底上げに取り組んでいく」
【石川太郎】
(冒頭の写真:設立記念祝賀会のひとコマ。会員企業25社の代表者らが一堂に会する)
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