風評に関する消費者意識の実態調査 消費者庁、18回目の調査結果を公表
消費者庁は、被災地の農林水産物に対する消費者の意識や購買行動の変化を把握するため、「風評に関する消費者意識の実態調査」を実施した。調査結果を踏まえ、消費者のリスク認識や産地選択の傾向を分析し、風評被害防止に向けた対策の参考とするため2013年から実施しており、今回が18回目となる。
食品の産地を気にする理由、放射性物質に対するリスクの捉え方、食品中の放射性物質に関する出荷制限などへの意識や理解、食品中の放射性物質に関する検査の知識などについて、今年1月15日~17日まで、岩手・宮城・福島・茨城などの被災地域4県と埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫の1都1府5県の20~60代男女5,176人を対象に調査した。
放射性物質に関する検査の認知度については、「検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は 65% で、前回調査より3.5ポイント増加した。一方、検査の詳細な内容について知識を持つ人の割合は増加傾向にある。
「食品の産地を気にする」または「どちらかといえば気にする」と回答した人の合計は55.3%だった。ただし、「産地を気にする」、「どちらかといえば気にする」との回答割合は前年より減少したが、「分からない」との回答が約2倍に増加した。
食品を買う際に産地を気にする理由について聞いたところ、「産地によって品質(味)が異なる」(23.3%)、「産地によって鮮度が異なる」(20.1%)、「産地によって価格が異なる」(19.5%)、「放射性物質の含まれていない食品を買いたい」(11.4%)と続いた。
また、「自分が住んでいる地域の食品を買いたいから」、「その食品の生産地を応援したいから」という人が29%だった。
「放射性物質の含まれていない食品を買いたい」と回答した人が特に気にする食品は、野菜(8.3%)、米(7.3%)、鮮魚介類(7.2%)、牛肉(5.8%)だった。
また、消費者が購入をためらう産地は、福島県(6.2%)、岩手・宮城・福島を含む東北地域(5.2%)、東北全域(2.3%)だった。
風評被害を防止するための施策について聞いたところ、「食品の安全に関する情報提供(検査結果など)」(41.7%)が最も多く、続いて、「科学的な説明の提供」(30.5%)、「産地の魅力の発信」(27.0%)なども必要とされた。
放射性物質のリスク認識に関しては、「基準値以内であっても少しでもリスクがあるため受け入れられない」(12.1%)、「基準値以内であれば、他のリスクと比較して低いため受け入れられる」(33.8%)、「十分な情報がないため判断できない」(34.6%)などの回答があった。「放射性物質以外の要因でもがんは発生するのだから、殊更気にしない」も18.9%だった。