発酵性食物繊維の組成を明らかに 日清製粉ら、腸内環境改善効果の可能性を培養試験で示す
㈱日清製粉グループ本社(東京都千代田区、瀧原賢二社長)と日清製粉㈱(同、山田貴夫社長)はこのほど、高食物繊維小麦粉に含まれる多様な発酵性食物繊維の組成を明らかにし、これら発酵性食物繊維による腸内環境改善効果の可能性を培養試験で示したと発表した。大妻学院大妻女子大学(伊藤正直学長)との共同研究。研究結果の詳細は、4日から8日まで札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)で開催される「日本農芸化学会2025年度札幌大会」で発表する。
これまでの研究で、高食物繊維小麦粉に豊富に含まれるレジスタントスターチ(ヒトの消化酵素で分解されずに大腸まで届くでん粉)は発酵性食物繊維であり、腸内細菌が代謝することで有益な物質である短鎖脂肪酸が産生されることを培養試験で明らかにしている。
今回、高食物繊維小麦粉に含まれるレジスタントスターチは、他の食物繊維と比較して、酢酸(短鎖脂肪酸の一種)を産生する基質としての効果が同等または高いことを培養試験で確認した。また、高食物繊維小麦粉から製造したパンに含まれる食物繊維の組成を明らかにし、大部分が発酵性食物繊維であることを確認した。高食物繊維小麦粉には、レジスタントスターチだけでなく複数の発酵性食物繊維が含まれることで、短鎖脂肪酸産生菌である Bifidobacterium 属の存在比率や、短鎖脂肪酸の産生量の増加により腸内環境改善効果が向上することを培養試験で確認した。
今回の研究成果により、高食物繊維小麦粉が腸内環境改善効果を有する可能性が示された。この発見は、日常の食事における食物繊維の質と量を高め、健康促進に寄与する新しい食材としての可能性を広げることに繋がるという。今後は、培養試験に留まらず、実際のヒト臨床試験を通じてさらなるエビデンスを蓄積し、消費者にとって身近な食品としての応用を進める。また、この研究は、高食物繊維小麦粉の健康増進への寄与の可能性を示すものであり、食品業界全体における新たな製品開発や健康食品の創出に貢献することが期待されるとしている。
日清製粉グループは、これからも科学的根拠に基づく研究を推進し、高食物繊維小麦粉を通じた「“おいしい”の先に健康がある世界」を目指し、研究開発を進めるとしている。