厚労省の審議会、健康被害情報を検討 情報提供義務化の9月1日以降、4製品が報告要件満たす
厚生労働省によると、機能性表示食品と特定保健用食品について、健康被害疑い情報の行政機関への報告を義務化した今年9月1日以降、11月末までの3カ月間で、報告要件を満たす健康被害情報が、機能性表示食品では4製品についてあった。ただし、現時点で注意喚起や流通防止など食品衛生法上の短期的な措置を検討すべき製品は無いと、医学者らは判断している。特定保健用食品に関しては、健康被害疑い情報が報告された製品はなかった。
措置の検討必要と判断された製品は無く
機能性表示食品などの健康被害疑い情報の報告義務は、食品衛生法に基づく食品衛生法施行規則(省令)で定められている。報告要件は課長通知で規定。医師が診断した症例のうち因果関係が否定できなかったり、不明だったりするものも含めて行政機関に報告する義務を届出者(販売会社)などに課している。概ね30日以内に同じ所見の症例が2例以上発生した場合などに報告義務がかかる。
厚労省の厚生科学審議会「食品衛生監視分科会 機能性表示食品等の健康被害情報への対応に関する小委員会」の第1小委員会(曽根博仁委員長=新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野教授)は23日、非公開でオンライン審議を開き、機能性表示食品などについて報告された健康被害情報について、食品衛生法上の措置の要否を検討した。同委員会は、医学者を中心とする4人の委員で構成されている。
同省が即日公表した議事要旨などによれば、自治体から厚労省に健康被害疑い情報が報告され、この日の委員会で措置要否の検討対象となった健康食品は、計41製品に上った。ただ、検討の結果、「現時点で、流通防止等の食品衛生法上の短期的な措置や、食品衛生法第13条に基づく規格基準の策定等の消費者庁への申し送りの検討が必要と判断された製品はなかった」という。
41製品のうち21製品は、機能性表示食品や特定保健用食品以外の健康食品だった(今年5月末まで報告分)。また、9製品は指定成分等含有食品(同)。機能性表示食品については、健康被害疑い情報の報告義務要件を満たす4製品以外に、7製品について検討したという。
同委員会は、厚労省の担当課とのコミュニケーションを平時から取りつつ月に1回のペースで審議することにしている。来月は、第2小委員会(委員長、第1小委員会と同じ)が、今回と同様に、健康被害疑い情報が報告された機能性表示食品など健康食品全般に対する食品衛生法上の措置の要否を検討する。
同委員会の前身は、昨年度まで厚労省に設置されていた、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の新開発食品調査部会新開発食品評価調査会「指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ」。指定成分等含有食品のほか健康食品全般の健康被害疑い情報を検討、審議していた。
【石川太郎】
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