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認知機能サポート「働き盛り」に提案 新成分「アラリアジオール」含むツボクサエキス

 「ゴツコラ」や「CICA(シカ)」などと海外では呼ばれるセリ科植物のツボクサ(Centella asiatica)。インドの伝承医学アーユルヴェーダが重用してきたとされ、現代ではその全草の抽出物(エキス)がサプリメントやスキンケア化粧品の原材料として利用されている。今年10月、そのツボクサ抽出物に新たな価値を付加したサプリ向けの原材料が日本で発売された。「アラリアジオール」というツボクサでは従来知られていない成分を含むもので、製品名は「ARACA(アラカ)」という。

岐阜薬科大学と一丸ファルコスが共同研究開発

 ツボクサからアラリアジオールを見つけ出したのは、岐阜薬科大学と植物抽出物メーカーの一丸ファルコス㈱(岐阜県本巣市)の共同研究グループ。研究の過程で行った細胞試験や動物試験などで、ストレス条件下で脳神経細胞を保護する機能を持つ可能性も見出した。

 サプリの原材料として利用されるツボクサの抽出物(エキス)は一般的に、シアチコシド、マデカソシド、アシアチン酸、マデカシン酸などといったトリテルペン類を含む。それらが有効成分とされ、ツボクサ抽出物にはいくつかの生体調節機能が報告されている。その1つに、認知機能など脳機能に及ぼす働きがある。

 実際、一丸ファルコスによると、研究グループは脳神経細胞保護機能を持つ植物を探索し、酸化ストレスや小胞体ストレスの条件下で脳神経細胞の細胞死を抑えられるかどうかを海馬由来の細胞を用いてスクリーニング評価した結果、最も強い細胞保護活性を示したのがツボクサだった。アラリアジオールは、その活性を持つ成分として、ツボクサから世界で始めて単離・同定したものだという。モデルマウスの試験でも、ツボクサ抽出物とアラリアジオールの双方に、認知機能障害の進行を抑制する働きが確認されたという。

 研究グループは、研究成果を取りまとめた論文を海外学術誌の『Journal of Pharmacological Sciences』に投稿。「The protective effect of Centella asiatica and its constituent, araliadiol on neuronal cell damage and cognitive impairment」(神経細胞障害と認知機能障害に対するツボクサ及びそれに含まれるアラリアジオールの保護効果)の題名で発表した。また、ツボクサから見つけ出したアラリアジオールを安定的に含有させることのできるツボクサ抽出物の製造技術の開発を一丸ファルコスで進め、2022年10月、製法に関する特許(第7160299号)を取得した。

 そういった研究開発の過程を辿りながら同社が今年10月、サプリ向け原材料として新発売したのがARACA。同社を代表するサプリ原材料「プロテオグリカンF」(鮭鼻軟骨由来プロテオグリカン)に続く久方ぶりのサプリ原材料の新製品で、3%以上のトリテルペン類とともに0.1%以上のアラリアジオールを含む。岐阜薬科大学との共同研究を含め、研究開発に7年の歳月を費やしたという。

脳機能対策「行っている」、若い世代に多く

 一丸ファルコスがARACAを投入した先は、サプリ市場の中でも認知機能など脳機能の領域だ。同社はスキンケア化粧品に使用する原材料の製造販売を主力としていることもあって、サプリ原材料については通常、例えば「関節」に対する機能を訴求するものでも、併せて肌に対する機能を打ち出す。しかし新製品に関しては、脳機能に絞った。しかも、「働く世代にフォーカスしている」と同社の担当者は話す。

 認知機能など脳に対する働きが訴求されるサプリの主要な購入者層は一般的に、中高齢者層であると理解されている。脳機能領域の機能性表示食品でも、表示する機能性の科学的根拠は、中高齢者を対象にしたヒト試験で得ている場合が多い。だが、同社は、ARACAの脳機能に対する有効性を検証するヒト試験を、中高齢者層ではない層を対象に行った。

 今のところ、盲検性のないオープン試験にとどまるが、20~50代の「働く世代」の健康な男女29人(平均年齢42.5歳)を対象にしたヒト試験を同社は実施。1日あたり100mgのARACAを6週間摂取してもらい、摂取前と摂取後を比較して、集中力・計算力・判断力・反応速度・脳疲労・集中力持続などが向上するか調べた。その結果、計算問題の正解数をはじめタイピングの正タイプ数の増加が見られたほか、脳負荷テスト(ストループテスト)後の疲労感が軽減されたという。

 この試験の被験者となったような「働き盛り世代」にこそ、脳機能領域サプリのニーズがあると一丸ファルコスは見る。

 同社が今年9月に実施した、日本在住20代~50代の男女397人を対象にしたインターネットアンケート調査。「10年前に比べて脳機能の衰えを感じる」と回答した人の割合は66%と少なくなかった。「とても感じる」が25%、「少し感じる」は41%に達し、「とても感じる」と答えた人が最も多かったのは40代女性。また、全体の約6割が脳機能への対策をしておらず、「対策を行っている」と回答した人の割合は、中高年よりも若年層のほうが多かったという。

 新規の機能性関与成分を含むARACAは、今のところ、ヘルスクレームを行える機能性表示食品対応素材ではない。今後、そうできるようにするためのRCT(ランダム化比較試験)を行うかどうかは「慎重に検討する」考えだ。「(認知機能に関する機能性表示食品のヘルスクレームや摂取対象者について)新しい領域を広げられるかどうか」も含めて慎重に探っていくという。

【石川太郎】

(冒頭の画像:ゴツコラなどの別名があるツボクサの葉/文中の画像:ARACAに含まれるアラリアジオールの化学構造式。いずれも一丸ファルコスの報道発表資料から)

関連記事:プロテオグリカン、海外需要高まるか【機能性食品素材最前線】

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