消費者庁は20日、通信販売会社㈱VERIFY（東京都目黒区、梶充輝社長）に対し、特定商取引法第15条第1項の規定に基づき、6カ月間の業務停止命令を命じた。同じく15条2項に基づき、梶社長に対しても、業務停止命令を命じられた範囲の業務を新たに開始することを禁じた。きのう23日、同庁が記者会見で明らかにした。

ビフォーアフターの合成写真

　　VERIFY社は、同社が運営するウェブサイトで美容クリーム『白雪若肌　スノースキン　ラグジュアリークリーム』を販売するに当たり、合成写真としか思えないビフォーアフター画像を用いるなどして消費者の優良誤認を誘引していた。少なくとも今年7月23日～29日にかけて、同品の使用前後の顔面画像とともに「現役皮膚科医絶賛　シワ消しの裏技～年齢・遺伝関係なし、塗るだけでシワがピーンッ！！」、「本当に塗るだけで顔のシミが完全に消えた！？んです！！」、「シミの原因となるメラニンを溶かしてくれるので…塗るだけでシミ完全消滅！？」などと、同品を塗布するだけで即座にシワやシミを消すことができるかのような表示を行っていた。

誇大広告による優良誤認表示

　消費者庁はこれらの表示が、特商法第12条第1項「誇大広告等の禁止」の規定に違反するとみなし、同法第12条2の規定に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた。しかし、提出された資料は合理的根拠を示す資料とは認められなかったため、これらの表示を優良誤認表示と認定した。

事実と著しく相違する表示

　　また同社は、少なくとも同期間、同品の販売条件を広告するに当たり、「一回限り　解約不要　1,980円」などと表示することによって（申込の撤回・解除に関する事項）、同品の販売条件が定期購入契約ではないかのような「事実と異なる」（法12条違反）表示を行っていた。実際には、同広告から遷移するウェブサイト上の同品ランディングページ、同ウェブサイト上の同品のチャットボットページから行う契約は、購入者に対して定期的に継続して購入する定期購入契約となっていた。

法12条の6第1項「表示義務違反」

　さらに同社は、少なくとも今年7月23日から9月3日までの期間、特定申込みに関する手続きが表示される映像面において表示義務違反も行っていた。定期購入契約に基づいて販売する同品の分量、販売価格、代金の支払時期・方法、契約解除の条件・方法を表示していなかった。

　消費者庁は同社に対し、特商法第15条第1項の規定に基づき、12月21日から25年6月20日までの6カ月間、通信販売に関する業務の一部（広告、申込受付・契約締結）を停止するよう命じた。また、法令順守体制の整備、その他の再発防止策を講じ、同社の役員・従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底するよう指示した。梶社長に対しても、同期間の同業務の停止を命じた。

　これを受け同社は、7月23日から12月20日までの期間に同社との当該売買契約を締結した全ての相手方に対して、今回の業務停止命令に至った内容、同庁からの指示内容などを添付して、25年1月20日までに書面で通知、同時に、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛に書面等によって報告しなければならない。なお、25年1月6日までに、契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容、同封資料一式を、予め消費者庁長官宛に書面等で報告し承認を得なければならない。

【藤田　勇一】

（冒頭の写真：同命令について説明した同庁取引対策課、統括消費者取引対策官の加藤純氏（左））