消費期限・賞味期限は一本化せず 第3回食品期限表示設定GL見直し検討会~消費者庁
消費者庁は16日、「第3回食品期限表示設定のガイドライン見直し検討会」を開催し、今後の方向性を示した。消費期限・賞味期限について一本化することなく2本立て表示を維持するも、現行の「5日」で振り分ける方法は取らないこととした。今回の議論を踏まえ、ガイドライン改正案を作成し、来年2月4日開催予定の第4回検討会で再度議論し、取りまとめに入る。
会合ではまず、消費者庁が前会合で受けた質問(宿題)に対し、資料1「諸外国における食品の期限表示制度」等、資料2「加工食品の期限表示設定に関する実態調査」について、追加で行った調査の結果を報告した。
下記の「検討会資料のリンク」の資料1「諸外国における食品の期限表示制度」においては、赤字部分「期限表示の設定方法」について追加調査で得られた結果を説明した。その中で、コーデックスでは期限表示の設定方法は「規定されていない」とした。続いて「実態調査アンケート」について追加調査の結果を報告した。
「資料2」については、追加調査を行った3社の結果について緑色の文字で追記してある。
ガイドラインの見直し案の方向性については、①消費期限/賞味期限、②指標、③安全係数、④賞味期限を過ぎても「食べることができる期限」に関する情報、⑤情報の一覧性向上――の5本立てとし、おおよそ以下のとおり整理した。
・消費期限と賞味期限の設定は、一定の日数ではなく用語の定義に基づく
・消費期限と賞味期限を5日で振り分ける考え方は廃止
・季節や気候による温度管理の重要性を強調
・常温品について保存方法や条件を具体的に表示することを検討
・HACCPに基づき自ら指標を決定することが求められる
・リステリアなど危害要因への対応として加熱など食べ方の情報提供を促す
・微生物増殖抑制のため、商品温度を7度未満とすることを課題として記載
・安全係数は食品特性に応じて、できるだけ1に近い設定が推奨される
・賞味期限が過ぎても食べられる期限の情報開示をし、食品ロス削減につなげる
・保存された食品は寄付検討、企業発信で「おいしいめやす」などの社会的認識向上を目指す
・ガイドラインをQ&Aの別添とし、現QAの期限表示に関する記載をガイドラインの後ろに移す
各委員からは主に次のような質問が行われた。
・ガイドラインに食品カテゴリーごとの指標や目安を設ける必要性を提案
・企業が真空包装などで期限延長を試みているが、クロストリジウム属などの嫌気性菌検査も重要
・一般細菌数や大腸菌群以外の検査も行われていない現状について懸念
・業種ごとのガイドライン作成の必要性を強調
・HACCPにおける危害要因分析が難しく、中小零細企業は科学的根拠を持って指標を決められないことが多い
・期限表示についてもガイドラインがないと判断が難しい
・指標の設定方法を考えるべきという意見がある
・微生物試験や理化学試験などの手法を考慮する必要がある
・食品ごとの特性に応じた指標設定の重要性を強調
・リステリアについて、食べ方表示情報提供について違和感あり
・食品の消費期限を過ぎた後の食べ方について、菌や食品群によって異なる情報提供が必要
・消費者向けに保存方法や食品群に応じた情報提供を求める
・リステリアに特化した表現は修正が必要
・食品ロス削減とSDGsの観点から、期限延長とエネルギー使用のバランスを考慮する必要がある
・サプライチェーン全体でのトーンを強めるべきとの意見
・HACCPやコールドチェーン管理について方向性を示すことが重要
・賞味期限超過後も食べられる旨を伝える際、企業イメージへの影響に注意
以上について事務局で工夫、整理した上で来年2月4日開催の4回目の会合で取りまとめに入る。
【田代 宏】
検討会資料のリンクはこちらから(消費者庁HPより)