GSIクレオス、CBD市場に参入 原材料販売を展開、アストラサナ社日本法人と資本業務提携
東証プライム市場に上場している商社の㈱GSIクレオス(東京都港区、吉永直明社長)が、国内カンナビジオール(CBD)市場に新規参入する。スイスを拠点にCBDなどカンナビノイド事業を展開するアストラナサ社の日本法人に出資、資本業務提携を行った。同社とのパートナーシップを背景に、日本の法規制に合わせた大麻草由来CBDの原材料販売を行う。同社が12日、発表した。
出資、資本業務提携を行ったのは、昨年3月設立のアストラサナ・ジャパン㈱(東京都渋谷区、吉田智賀子社長)。出資額は非公表。GSIクレオスは20年に国内健康食品市場に参入。香粧品部を通じて、ピニトールやシマアザミ細胞液などの健康食品原材料の仕入れ、卸販売を行っている。CBD原材料の供給も香粧品部で手がける。
GSIクレオスは取材などに、CBD市場への新規参入の背景について、今月12日に一部施行された改正法(大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律)によって、「CBD製品に許容される残留THCの閾値が明確に定められた」ことが大きいなどと説明。「(THC残留量の)分析には慎重を期す」(企画広報課)としている。
また、近い将来、原材料供給にとどまらず、「アストラサナグループが取り組むヒト向け・ペット向けサプリメント分野においても、当社グループのリソースを活用したOEM生産や最終製品の販売など」も手がけていく考えを示している。CBD市場への新規参入を発表する中で、「新たなビジネスモデルの構築をめざす」とした。
THCめぐる新規制、「残留限度値」12日施行
GSIクレオスによると、同社が今後原材料供給するのは、アストラサナ・ジャパンが取り扱うCBDアイソレート(CBDのみを抽出・分離した結晶タイプの原材料)。アストラサナ・ジャパンのウェブサイトによれば、向精神薬取締法で麻薬として規制されるテトラヒドロカンビノール(THC)の規格目安は10ppm(0.01%)以下、CBDについては98~99%以上としている。
今月12日施行の改正法では、これまで曖昧だったCBD製品中THC残留限度値が政令で明確に定められた。油脂(常温で液体であるものに限る)と粉末は10ppm、水溶液は0.1ppm(0.00001%)、油脂・粉末・水溶液「以外」は1ppm(0.001%)とそれぞれ規定。値を超える製品は原則、麻薬として規制対象になる。法律を所管する厚生労働省は現在、「製品中THC含有量の検査が可能な機関」として、ネオサイエンス㈱(富山県富山市)や三重大学神事・産業・医療用大麻研究センター(三重県津市)など国内外5機関(11日時点)を提示している。
【石川太郎】
関連記事:厚労省、CBD事業者等向けに通知 THC残留限度値規制めぐる「考え方」示す
:これからのカンナビノイドを語ろう【CBD座談会】サプリと医薬が共存する世界へ