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機能性表示食品の限界と可能性(2) 【寄稿】これからのFFC、プロモーションからプロダクトへ

「関節・筋肉」「減量」「目」サポートが約56%

 図3は、サプリメント形状の機能性表示食品のヘルスベネフィット別の市場規模である。

 サプリメント形状の機能性表示食品の市場規模は2,233億円、トップの「関節、筋肉サポート」の機能性表示食品は648億円で29.0%のシェア、次いで「減量」が312億円で14.0%のシェア、3位が「目の健康」284億円で12.7%のシェアでトップ3の機能性で55.7%のシェアを占めている。届出件数が多い生活習慣病対応の「脂肪・コレステロール値対策」「血糖値」「血圧」は、思ったほど市場規模が大きくなく、シェアも高くない。

売上規模トップ30に機能性表示食品はわずか9ブランド

 それでは、サプリメント形状の「いわゆる健康食品」のヘルスベネフィット別の市場規模と機能性表示食品の関係はどうなっているだろうか。
 下図の棒グラフがその関係を示している。

 青色がサプリメント形状の「いわゆる健康食品」合計の市場規模、赤色がその内のサプリメント形状の機能性表示食品の市場規模である。両者の市場規模が一致していないことが一目瞭然である。
 サプリメント市場のトップ3は「滋養強壮」、「スポーツ」、「関節・筋肉サポート」であるが、この中で機能性表示食品が存在しているのは「関節・筋肉サポート」のみであり、「滋養強壮」「スポーツ」領域は、機能性表示食品ではカバーできていない。同様に「グリーンフーズ」「アンチエイジング」も機能性表示食品で対応できていない。また、「減量」「免疫」「脂肪・コレステロール」は、機能性表示食品が存在するが、カバー率(そのヘルスベネフィットにおける機能性表示食品が占める割合)は33.9%、18.9%、22.3%と決して高くはない。

 機能性表示食品のカバー率が高いヘルスベネフィットは「認知機能」「血糖値」「睡眠」「高血圧」だが、これらのヘルスベネフィットは市場規模自体が大きくない。
 そもそもサプリメント市場における機能性表示食品のカバー率は20.3%に過ぎず、8割が機能性表示食品ではない。
 ヘルスベネフィット別市場規模に目を向けてみると、市場規模の大きなヘルスベネフィットは機能性表示食品が存在していないものが多く、機能性表示食品のカバー率が高いヘルスベネフィットは市場規模が大きくない。なんとも複雑な気持ちになる。

 本稿では個別の商品名への言及は避けるが、トップ30ブランドの内、機能性表示食品は9ブランドと、半分にも満たない。金額ベースでも26.1%に過ぎない。この辺りが、機能性表示食品の限界を考える際の重要なポイントになる。

 同様なことが、「いわゆる健康食品」の内の機能性食品(食品・飲料形状)にも言える。
 下図が、食品・飲料形状の機能性表示食品のヘルスベネフィット別の市場規模である。

 食品・飲料形状の機能性表示食品の市場規模は5,752億円、トップの「脂肪・コレステロール値対策」が1,947億円で33.8%のシェア、次いで「睡眠サポート」が1,251億円で21.7%のシェアである。トップ2のヘルスベネフィットで55.5%のシェアとなっている。
 食品・飲料形状の「いわゆる健康食品」(機能性食品)には、トクホが含まれている点は考慮しなくてはならない。

(つづく)

<筆者プロフィール>
麻布大学環境保健学部卒業、法政大学大学院経営学専攻修士課程修了。
アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年1月、㈱グローバルニュートリショングループ設立、現在に至る。国内企業の新規事業の立ち上げ、新商品開発、マーケティング戦略立案などのコンサルティングや海外市場進出の支援、海外企業の日本市場参入の支援を行う。現在まで、国内外合わせて800以上のプロジェクトを実施。
経 歴:1986年 麻布大学 環境保健学部卒業、1986年 アピ株式会社入社、1997年 法政大学大学院 社会科学研究科経営学専攻修士課程修了(MBA)、1998年 サニーヘルス株式会社入社、2004年 (株)グローバルニュートリショングループ設立後、現在に至る。
著 書:「健康食品ビジネス大全」(パブラボ社、2011年10月)、「健康食品ビジネス大事典」(パブラボ社、2015年8月)、共著「ヒットを育てる!食品の機能性マーケティング」(日経BP社、2017年4月10日)
活 動:平成26年度「栄養表示義務化及び食品の新たな機能性表示創設に伴う消費者教育の在り方に関する検討事業」 ワーキンググループ委員(消費者庁委託事業)、平成28年度「第6次産業化促進技術対策事業」検討委員会委員長(農林水産省委補助事業)、平成29年度「食産業における機能性農産物活用促進事業」検討委員会委員長(同上)、平成30年度「食産業における機能性農産物活用促進事業」検討委員会委員長(同上)、2018年 機能性表示食品届出指導員養成講座 講師、2019年~21年 機能性表示食品普及推進協議会 会長、一般社団法人ウェルネス総合研究所 理事、一般社団法人通販エキスパート協会 認定スペシャリスト、機能性表示食品届出アドバイザー養成講座 認定講師
僭越ながら、海外に通用する機能性表示食品について考える「FFC2.0研究会」を㈲健康栄養評価センター・柿野賢一氏、㈱サルタ・プレス・西沢邦浩氏と共に立ち上げ、継続して勉強会を開催している。読者の皆さんにも是非ご参加いただければ幸甚である。

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