GABA（γ‐アミノ酪酸）を筆頭にリコピン、エラグ酸の関心が特に高かった──10月下旬、都内で開催された健康食品原料等の展示会に初出展したのに合わせ、機能性原料の営業提案を本格的に開始した㈱サンクト（宍戸哲夫・今川信雄社長）の担当者はそう手応えを語る。

　機能性表示食品の原料市場に、主に植物抽出物で本格参入する（10月21日付既報）。システマティックレビュー（SR）等の届出資料とセットで供給する機能性原料は、海外の協力工場で製造するものが中心。その第1弾として、合計12成分19ヘルスクレームを提供する準備を進めている。現在までに、6成分9ヘルスクレームの提供体制を整えた。

　現時点で提供できる機能性関与成分とヘルスクレームは、GABAについては睡眠の質改善や筋肉量の維持など4ヘルスクレームの他、BCAA、大豆イソフラボン、スルフォラファングルコシノレートについて1ヘルスクレームずつ。また、展示会後の12月に入ってから、リコピン、エラグ酸についても届出実績を作った。前者では、紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能を訴求。内臓脂肪の減少サポートなどを訴求する後者は、アフリカマンゴノキやザクロではなく、ウルシ科植物のヌルデ（Rhus javanica）に由来するエラグ酸で届出実績を作った。

短納期・安定供給、品質保証体制を「強みに」

　サンクトの基幹事業は2つ。アミノ酸とレアメタルだ。その中で植物抽出物は、アミノ酸事業から派生したかたち。食品、医薬、飼料と、販売するアミノ酸の用途が広がっていく中で、食品のなかでも「ヘルスケア」は将来有望と考えた。そこで、アミノ酸以外にも取り扱い製品を増やすことに決め、主にサプリメントに使用する植物抽出物の事業化を進めることにした。

　北米など海外への輸出も行うアミノ酸事業をテコに、国内外で植物抽出物の需要開拓を進めたい考え。国内では、機能性表示食品を軸に販売量を拡大させる計画だ。一方で、機能性表示食品の届出支援を手がける植物抽出物の輸入販売事業者は他にも少なからず存在しており、後発企業は独自の強みがないと顧客の獲得は難しい。この点、同社の担当者は、「短納期・安定供給」を強みの1つに挙げる。

　「当初が契約している倉庫は全国に11ある。各倉庫で、各製品の在庫を管理し、日本各地の（最終製品）製造工場へ迅速に届けられるようにする。どの製品についても極力、在庫が一定数量ある状態を確保しておきたい」

　また、品質保証体制も強みになると話す。同社が販売する植物抽出物の製造協力工場は、中国の漢方生薬メーカーのグループ会社。主にサプリ向けの植物抽出物を製造しており、主な販売相手国はアメリカ、次いでドイツ。「欧米のレギュレーションに合わせた衛生管理やGMP管理の下で製造している」（同）。その上で、日本に輸入した後は、総勢10人超のサンクトの品質保証部門で、各製品の品質保証に取り組む体制を取る。

　同社は、アミノ酸事業の関係で、医薬品製造業（包装・表示・保管）の業許可を取得している。そのため、品質保証部門には薬剤師資格を持つ人材が複数、在籍。博士号を持つ人材も同様だ。アミノ酸事業を医薬品の領域にも広げていく過程で構築していった品質保証体制を、品質に対する要件が高まった機能性表示食品を主な用途とする植物抽出物にも生かしていく考えだ。

　サプリについてGMPが義務化されるなど、大型な制度改正のタイミングで機能性表示食品の原料市場に新規参入することになった。全ての責務を負う届出者（製品販売会社）をはじめ、機能性表示食品のサプリに使用する原材料を受け入れる最終製品製造企業からの品質に対する信頼を勝ち取ることができるか。機能性関与成分をめぐるサンクトの今後の取り組みが注目される。

【石川太郎】

（冒頭の写真：10月下旬開催の展示会に初出展したサンクトのブース。機能性表示食品を全面に打ち出した。同社提供）

＜COMPANY INFORMATION＞
所在地：東京都江東区新大橋3-5-1平野ビル2階
TEL：03-5624-1688
URL：https://www.sanct.co.jp/
事業内容：アミノ酸の輸出入および国内販売、レアメタルの輸出入など

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