小林製薬に原因分析再調査を要求 投資ファンド「オアシス」が株主提案、約7.5%保有
小林製薬㈱(大阪市中央区、山根聡社長)の株式を大量保有する香港投資ファンド「オアシス・マネジメント」が、同社に臨時株主総会の招集を要求している。同社が2日、公表した。発表によれば、同社が製造した原材料(紅麹)を配合したサプリメントの健康被害問題をめぐり、オアシスは「現経営陣のみに抜本的改革を委ねることはできない」などと主張。品質管理体制などが適切だったかどうかの独立した第三者による原因分析再調査のほか、オアシスが指名する弁護士など3人の社外取締役、1人の業務及び財産状況調査者をそれぞれ選任するよう求めている。
指名する調査者の選任求める
「物言う株主」として知られるオアシス。小林製薬によると、先月19日時点で7.54%の同社株を保有しており、「少しずつ買い増しているイメージ」。今年7月、約5%を保有したことが明らかになっていた。臨時株主総会の招集を請求したのは先月29日付。小林製薬は、「取締役会で慎重に検討する」としている。
オアシスは請求書で、小林製薬の信用は健康被害問題で「失墜」し、信用回復のためには「全般的な調査及び検証が必要」などと主張。同社が設置した事実検証委員会による調査は、同社に法的助言をする弁護士らのサポートを受けているため「調査の独立性が担保されていない」、「調査結果の客観性について疑義が存在すると言わざるを得ない」などと疑問視。また、辞任した前会長を特別顧問に就任させるなど問題発覚後の経営陣の対応は「著しく不合理なもの」で、社外取締役は「被害拡大阻止に何ら力を発揮することができなかった」などと厳しく批判し、「品質管理体制・内部統制システムの抜本的な改革は、既存の経営陣にのみ委ねることでは、これを期待することはできない」などと切り捨てた。
オアシスは、会社法に規定のある株式会社の業務及び財産状況を調査する者として、弁護士の牛島信氏を推薦、選任するよう求めている。調査の目的は、「本紅麹事件の原因分析(小林製薬における全般的な内部統制システム及び品質管理体制の当否の分析を含む)、並びに本紅麹事件の対応方法の妥当性の検証」と説明している。社外取締役には、元検事の中村芳生氏ら3人をそれぞれ推薦、選任するよう求めている。
【石川太郎】
(冒頭の写真:腎機能障害の健康被害が報告された小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」)
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