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都心にある分析ラボ、所有者はリコム GC-MSも導入して品質管理、新たに溶出試験器も

 東京都心、ターミナル駅から徒歩5分圏内のとあるビル。その一角に置かれているのは健康食品原材料メーカー、㈱リコム(東京都豊島区、浜屋忠生社長)の分析ラボだ。広さは約30坪。植物抽出物等のパターン分析などに使う、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計(GC‐MS)も導入されている。

 リコムは1982年設立。現社長の浜屋忠生氏が創業した。臭いをケアする健康食品原材料のシャンピニオンエキスを開発、その唯一無二ともいえるサプライヤー(原材料供給会社)として認知されているが、都内にラボを所有していることはあまり知られていない。ラボの運用を始めたのは30年近く前に遡る。現在の場所に移してからは10年超が経過した。

 現在、ラボに導入している機器類は、GC‐MSをはじめ高速液体クロマトグラフ(HPLC)が1台、ガスクロマトグラフ(GC)が計3台、その他に分光光度計、光学顕微鏡、遠心分離機、超音波洗浄機などが各1台。協力工場で製造したシャンピニオンエキスなどの原材料の品質確認を行える体制をひと通り整えているという。

 最近になって新規導入した機器もある。原材料を製剤化(最終製品化)したものが摂取後に体内で適正に溶けるか検査する溶出試験器。同社が供給する原材料を使用する最終製品販売会社が機能性表示食品を届け出たり、その販売を始めた後の品質管理だったりをサポートする目的で購入した。

エキスの届出支援、顧客製品の品質管理の質向上にも

 というのも、リコムは今、機能性表示食品の機能性関与成分としての「エキス(抽出物)」の供給を進めている。エキスを機能性関与成分として届け出る場合、安全性や機能性を担保する品質管理のために、原則として液剤を除き、溶出試験や崩壊性試験などを行い、製剤としての同等性を確認することが求められる。販売開始後も同様だ。

 「崩壊性試験は最終製品を製造するメーカーで製造ロット毎に行う。製剤均一性試験や溶出試験は第三者機関でも行うが、我々のラボで試験できる体制を整えておくことで、顧客製品の品質管理(レベル)の向上や顧客サービスにつながる。外部に委託しないで済むから素早く対応できる」。浜屋社長は溶出試験器を新たに取り入れた理由をこう語る。

 エキスの機能性表示食品対応素材として販売するようになったのは、シャンピニオンエキスと並ぶリコムの主要開発製品のエノキタケ抽出物だ。いわゆる「体重コントロール」を訴求する素材。特定保健用食品の関与成分としての表示許可が目指され、科学的根拠が積み上げられていった経緯がある。

 機能性表示食品では、同抽出物に含まれる脂肪酸(リノール酸及びα-リノレン酸)を機能性関与成分とするかたちでの届出が以前から行われていたが、ここにきて新たに、「エノキタケ抽出物(指標成分:リノール酸、α-リノレン酸)」を名称とするエキスの枠組みでの届出も進み始めている。ヘルスクレームに違いはなく、「肥満気味な人を対象に、「お腹の脂肪(内臓脂肪)を減少させ、体重の減少をサポートし、高めのBMIを低下させる機能がある」旨を機能性関与成分の研究レビューに基づき訴求できる。

 ちなみに、エキスの枠組みで体重減少などを訴求する機能性関与成分は、今のところリコムのエノキタケ抽出物のみ。リコムは今後、最終製品販売会社に対して、エキスとしての届出サポートを積極的に進めていきたい考えだ。

 「分析や試験を外部に委託するとコストが高くつく。時間もかかる。その点、ここは我々のラボだから、外注コストはかからないしリードタイムも短い。我々の素材のユーザー企業には、ここをもっと活用していただきたい」と浜屋社長。ラボで取材に応じたのは今回が初めてだという。

【石川太郎】

(冒頭の画像:リコムの分析ラボに設置されたGC-MS。ラボの所在地は非公表)

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