1974年創業の健康食品製造・販売企業 ファイン、高品質・高機能・安心安全な製品を提供
㈱ファイン(佐々木信綱社長)は、1974年に大阪府八尾市で創業、6月に50周年を迎えた。創業者の佐々木義正氏は九州大学工学部卒業後、神戸に転居し研究員として働く傍ら自作で空気清浄機を製造・販売。その資金を元手に83年に㈱ファイン化学研究所の名称で法人を設立した。その後、ダッシュドロップ(口臭除去、脱臭ドロップ)を開発し、工場を大阪府八尾市に設立。ダッシュドロップを餃子屋に営業をかけ、販売してもらったことが同社の始まり。現在の社名は2002年4月から。
2017年に基幹工場が稼働、ターニングポイントの1つ
現社長の佐々木信綱氏は、72年生まれの52歳。早稲田大学商学部を卒業後、(現)第一三共㈱に入社。2002年にファインに入社し国際事業部長として海外展開に取り組んだ。香港市場の開拓に成功し、その後も人脈を生かして熱心に子会社を設立するなど、順調に国際成長戦略を推進してきた。その後、12年に代表取締役社長に就任した。新規事業の開拓や販路の拡大、多くの変革を続ける中で現場との間に軋轢が生じたと佐々木社長は当時を振り返る。「これまでやっていたやり方を変えていくことに時間はかかりましたが、少しずつみんなで同じ方向を向けるようになりました。これらの経験から、組織改革の難しさと、その過程でのコミュニケーションの重要性を深く認識しました」と話す。
同社は17年1月に、現在の基幹工場である「播磨先端製造技術センター(HAMTC)」(兵庫県たつの市)を設立。当時は稼働率の低迷などさまざまな懸念点があったが、その時期に最新の設備と熟練の製造スタッフを兼ね備え、高品質の商品を世に送り出す体制を作れたことが大きなターニングポイントだという。また、15年4月に始まった機能性表示食品制度も追い風となったとも。
配合・仕様調整に強み、課題は社名の知名度
同社では、製造から販売まで一貫して行っているため柔軟性がある。配合調整や仕様調整を得意としており、最適な処方を組みながら製品設計を行う。そのため、いち早く市場への投入ができ、スピード感を持って品質の良い健康食品を、適正価格で販売できるという。
現在の課題として同社では、第1に社名の認知度を上げることとしている。健康食品業界内において社名は認知されているが、一般消費者への認知においては、まだ課題が多く残っていると話す。本社を構える新大阪の駅広告の出稿や、漫画・アニメ、Youtuber、インフルエンサーとのコラボを実施。これまではオンラインでの活動がメインだったが、最近はリアルイベントにも多数出展しており、消費者との接点を多く持つようにしている。またもう1つの課題として同社では、フィロソフィーの浸透を挙げる。昨年と今年、新卒社員を40人以上採用し、組織としては活気もあり、風通しが良くなったという意見もある一方で、経営理念の浸透が進んでいないと感じているという。社員のエンゲージメントを高めるため、フィロソフィーについて考える機会や、社員同士で話し合う機会を設けている。
社内公募でロゴ制作、健康寿命10年延長を目指す
創業50周年を迎えるに当たり同社では、社内でデザインを募り記念ロゴマークを制作した。公募は、会社と社員のエンゲージメントを高めるために、社員参加型の周年活動として開催し、応募総数20件の中から社員の投票で決定した。
今後の目標として同社では、「健康寿命の10年延伸」を掲げており、製品を通じて健康寿命の延伸と平均寿命との差の縮小を目指す。さらに、世界中の人々の健康寿命を延ばし、美しくいきいきとした生活を1日でも長く送ってほしいと考え、時代ごとに変わる顧客ニーズに沿った独自の商品の開発・サービス展開を今後も進めていくとしている。
COMPANY INFORMATION
所在地:大阪市淀川区宮原3-5-36 新大阪トラストタワー20F(本社)
TEL:06-6379-0357
URL: https://corp.fine-kagaku.co.jp/
事業内容:健康食品・サプリメントなどの開発・製造、自社健康食品などの卸・販売など
(冒頭の写真:同社工場/同社提供)