取材報告会、GMP通知改正も取り上げる 機能性表示食品制度「大改正」テーマに開催
㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区。以下、WNG)は14日午後、機能性表示食品制度「大改正」をテーマにした取材報告会をオンラインで開催した。WNGの会員企業と非会員企業の両方が参加。健康食品業界の最終製品販売会社をはじめとする川下企業、原材料事業者や最終製品受託メーカーなど川上企業、ほかにもコンサルテーションを手がける企業らがWNGの取材報告を聴いた。
WMG記者が2時間にわたり報告
WNGは、この日の取材報告会を、「機能性表示食品『大改正』~どう変わったのか、今後どうなるのか」をテーマに開催。休憩時間がないまま2時間、スライドの数として60枚におよんだ報告では、9月1日に一部施行された改正・機能性表示食品制度の改正経緯から話が始まり、改正のポイント、具体的な改正内容などを、行政機関等の公表情報、取材情報を織り交ぜながらWNGの石川太郎記者が報告した。
今回の制度改正の最大のポイントについては、消費者庁「機能性表示食品を巡る検討会」の座長を務めた中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授への取材などを踏まえ、「従来のガイドライン(通知)を主体にした制度運用から、法的拘束力のある法令に基づく制度運用に大転換される点だ」と話した。
そのうえで、改正・機能性表示食品制度を法的に支える食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)、それに基づく「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(内閣府告示。通称「サプリGMP告示」)などの法令と制度の関係を「説明が難しい」と悩みながら整理を試みた。
制度改正の直接のきっかけとなった、小林製薬「紅麹サプリ」をめぐる健康被害問題の発生以降、制度を所管する消費者庁が、機能性表示食品に係る事業者に食品衛生法の遵守を繰り返し求めている点も指摘。また食衛法との関連では、機能性表示食品の関係法令(告示)に落とし込まれた、あるいは来年4月1日までに落とし込まれることになる、主にサプリメント形状の健康食品の安全性や品質の確保に関わる基準やフローが示されている通称「3.11通知」に注目。特に原材料の安全性確保の面で、その重要性が大きく高まっていると報告した。
今後どうなるのか?
後半の「今後どうなるのか」のパートでは、今月18日午前に開催される、消費者庁「食品衛生基準審議会新開発食品調査部会」にもスポットを当てた。当日の会合の議題の1つに、前述の3.11通知の別添2「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の「改正」があり、改正点として「微生物等関連原材料指針の追加」が示されていると報告。報告したWNG記者は、「微生物等関連原材料」とは「菌体のような特殊な原材料」のことだと考えられると、巡る検討会の報告書を引用しながら説明しつつ、改正の背景には今般の健康被害問題があると推測。そのうえで、そうした原材料の製造工程や品質管理に関する基準が新たに設けられる可能性があると報告した。
「もしそうなるのだとすれば、その基準が機能性表示食品のサプリGMP告示に反映されるのかどうかも焦点になる。ただ、(同告示は8月末に)公布されたばかり。2年間の経過措置期間があるとはいえ、公布したばかりのものを改正することがあるだろうか」と悩んでみせた。
そのほか、取材報告を行ったWNG記者は、「食品」とは言い難いベネフィットとリスクの双方があるサプリメントを法制化する必要があるとする自身の考えを語ったほか、「安全性だけでなく機能性の確保を含めた品質保証にもっと目を向ける必要があるのではないか」などと述べた。
【編集部】
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