韓国コスメに続き中国コスメが台頭 【化粧品&美容サプリメント】美容に対する消費者ニーズが多様化
もはや女性だけのものではなくなったという声も聞かれる化粧品市場。メンズコスメやジェンダーレスコスメなど、今後の動向が注目される市場もある。韓国コスメの勢いに押され、苦戦を強いられる国内メーカーや販売会社も数多い。美容を意識したサプリメントに関しては、「美肌・肌ケア」を目的とした商品が目的別では人気があるものの市場は縮小傾向に。「痩身・ダイエット」を目的とした商品は、市場規模が縮小しているとする調査もある中、消費者ニーズの多様化が進む。
インバウンド需要は好調も、リピート客獲得は一部
日本を訪れる外国人観光客が増加する中、百貨店やドラッグストアを中心とした化粧品のインバウンド需要は好調を維持している。相変わらずMade in Japanブランドへの信頼感は高く、低価格な「かわいい」商品から高機能で高価格な「ハイブランド品」まで、さまざまな国の幅広い世代に受け入れられているようだ。また円安の影響で、かつて日本人が海外旅行で購入していたように、日本ブランドではなく日本以外のハイブランドを割安で購入するというケースも増えているようだ。
しかし、コロナ禍で拡大した越境ECによる販売チャネルは苦戦が続く。ある通販会社の海外担当者は、「Made in Japanブランドに対する信頼感は揺るがないものの、購入するのはあくまでも日本に来たついでで、自国に戻って海を越えて購入するほどのリピート客獲得には至っていない」と嘆く。インバウンド需要をいかにリピート需要につなげるかを課題とする通販会社は多く、それでも一定のファンは獲得できているとして、「越境ではなく、現地で購入できる実店舗販売に切り替えた」、「台湾の企業とタイアップした市場ニーズに合った日本製品を輸出する」という声も聞かれた。
東南アジア市場に注目、中でもベトナムに期待
日本市場のさらなる拡大に期待が持てないとして、タイ・インドネシア・ベトナムといった東南アジア市場への関心は高く、中でもベトナムを最有力地域に挙げる声が多く聞かれた。ベトナム市場における知名度を向上させるため現地に実店舗を構えるケースや、現地企業との連携を強化するケース、現地に工場を建設し、現地人材の教育、ジャパンクオリティでの製造を行うケースなどがある。
ベトナムの企業やベトナム進出を図りたい商社系企業からの問い合わせも増えているようで、毎年東京や大阪で開催されている化粧品開発展などには、出展する日本企業へのアプローチが熱を帯びてきているという。沖縄・久米島で海洋深層水を使った化粧品をOEM製造する㈱ポイントピュール(沖縄県島尻郡久米島町、大道敦社長)は、OEM事業者としては珍しいマーケティングのための実店舗を沖縄本島に複数店展開。沖縄を訪れる国内外からの観光客が連日来店しているという。気に入った商品を本格的に輸入するための取引をしたいという企業も多く、先日、あるベトナム企業から「商品単品ではなく、お店ごとベトナムに来てほしい」という依頼があったという。同社では、「Made in JapanだけではなくMade in Okinawaも気に入られた要因ではないか。ベトナムの人にも沖縄の良さを知ってもらえる良い機会」として、新たな市場であるベトナムに期待を寄せる。
【藤田 勇一】
(続きは会員のみお読みいただけます。残り約2,616文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年9月号(75号)の特集「化粧品&美容サプリメント」から)
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