コラーゲンで日常生活の疲労感を改善 ニッピの臨床研究論文、海外ジャーナルに掲載
コラーゲンペプチドの継続摂取で日常生活の疲労感が改善される可能性があるという。国内のコラーゲンペプチド原材料メーカーが健常者を対象にした臨床研究で明らかにし、研究結果をまとめた論文が、海外学術誌のオンライン版に掲載された。一晩寝ても疲れが取れないといった、睡眠後の休養感にも改善が見られたという。
臨床研究を行ったのは、コラーゲンペプチド原材料メーカーの㈱ニッピ(東京都足立区、伊藤裕子社長)。論文は先月、ダイエタリーサプリメント専門ジャーナル『Journal of Dietary Supplements』にオープンアクセスで掲載された。同社は、国内の健康食品業界関係者などに向けたプレス発表も行った。
発表によると、今回の臨床研究に使用したのは、同社製の魚由来コラーゲンペプチド。
健常者66人を対象にRCT実施
研究では、健康である一方で疲労しやすい66人を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施。試験食品(コラーゲンペプチドまたはプラセボ)の摂取開始前と摂取後に、疲労感を含む気分の状態を「POMS2」(7つの尺度から気分状態を評価する質問票)で評価するとともに、体調に関するアンケートを行い、リッカート尺度で評価した。
試験期間は8週間、コラーゲンペプチドまたはプラセボの1日あたり摂取量は、朝と晩にそれぞれ5グラム(1日あたり計10グラム)。主要評価指標は、摂取開始8週間後の、POMS2評価項目のうち「疲労−無気力」の標準偏差スコア(Tスコア)とした。試験期間の途中、コラーゲンペプチド摂取群、プラセボ群のそれぞれ2名が脱落。そのため、最終的な解析対象者は各群31人ずつとなった。
解析の結果、摂取開始8週間後のPOMS2「疲労−無気力」Tスコアは、コラーゲンペプチド摂取群がプラセボ摂取群より有意に低い値を示した。また、同じくPOMS2の「活気−活力」Tスコアも、8週間後、プラセボ摂取群と比べてコラーゲンペプチド摂取群の方が有意に高い値を示した。そして体調アンケートの結果は、8週間後の「一晩寝ても疲れが取れない」に関するリッカート尺度のスコアが、プラセボ群よりコラーゲンペプチド群で有意に低い値を示したという。
ニッピは、今回の臨床研究結果について、「コラーゲンペプチドの摂取によって日常生活における疲労感と活力感が改善することを示した初めてのヒト試験」だと説明。機能性表示食品に関して、コラーゲンペプチドの新たなヘルスクレームによる届出を視野に入れていそうだ。機能性表示食品では先ごろ、機能性関与成分のコラーゲンペプチドについて、睡眠の質向上を訴求するサプリメントの届出が公開された。
なお、ニッピが今回発表した論文「Dietary Collagen Peptides Ameliorate the Mood Status of Fatigue and Vigor:A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled, Parallel-Group Comparative Trial」は、オンライン上で全文を閲覧できる。
【石川太郎】
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