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食品表示基準改正案は「適当である」 消費者委が総理に答申、ただし多くの附帯意見あり

 小林製薬「紅麹サプリ」事件を受けた機能性表示食品制度の見直しをめぐり、内閣府の消費者委員会(鹿野菜穂子委員長=慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は16日、先月27日に内閣総理大臣から諮問のあった食品表示基準(内閣府令)の改正案は「適当である」と結論付けた答申書を総理に提出した。健康被害疑い情報の報告義務化を早く実施するため、下部組織の食品表示部会で長時間に及ぶ会議などを短期間のうちに繰り返しながら、急ピッチで答申書をまとめた。

機能性表示食品制度の見直し、消費者庁らへさらなる検討を要求

 答申書には、改正後の食品表示基準に規定する制度改善策の実効性を確保したり、さらなる厳格化を図ったりするための附帯意見を数多く付し、制度を所管する消費者庁をはじめとする関係省庁に対して、速やかな検討、可能なものからの実施を求めた。

 附帯意見に強制力はないが、鹿野委員長は、答申書を取りまとめた16日の会議後に開いた記者会見で、「(改正した)食品表示基準の施行後、委員会において確認、フォローアップを行っていく」と強調。附帯意見に対する消費者庁らの対応状況を監視していく考えを示した。

 附帯意見の構成は、「食品表示基準の改正に関する事項」及び「その他機能性表示食品全般に関する事項」の2本立てで、13項目26事項の速やかな検討を消費者庁らに求めている。

 消費者委は、附帯意見には「特に重要と思われる検討事項」(鹿野委員長)として4点を盛り込んであると説明。①健康被害疑い情報の報告期限について「重篤度に応じて、可能な限り短期となるよう検討」、②サプリメント形状の製造・品質管理に関するGMP(適正製造規範)義務化について「米国の基準なども踏まえつつ、更なる厳格化を検討」、③表示について「機能性の届出範囲を逸脱する強調表示や切り出しに対する規制の厳格化及び消費者保護の視点からの監視・執行体制の強化」、④経過措置期間終了から2年後を目途に「制度改正の効果検証、必要に応じた制度の見直し」──の4点を挙げた。

サプリ全体に対する意見書も 包括的な「規律」求める

 一方、消費者委は意見を機能性表示食品にとどめず、サプリメント全体に及ばせた。食品表示基準改正案に対する答申書とは別に、同日、政府に対して意見書を出した。「サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見」と題したもので、「サプリメント食品」を規律するための制度整備などを検討するよう求めている。

 意見は大きく4つ。①健康被害情報の収集・活用、有効性・安全性の実効性の確保、②表示・広告規制の強化、③消費者への情報提供及び注意喚起、④消費者保護の取組を規律する法制度や組織の明確化の4つで、鹿野委員長は同日の記者会見で「紅麹関連製品に係る事案を受け、機能性表示食品については、安全性の在り方等に重点を置いた制度改正が行われる。しかし、それはサプリメント食品が抱える問題という観点から見ると、一側面からの対応にとどまる」と述べ、同意見書を政府に提出する目的を説明した。

 意見書では、欧米諸国と異なりサプリメントを定義したり、包括的に規律したりする法律がない日本はサプリメントに対する「消費者保護の視点からの規律や監視・執行体制が不十分」だと指摘。そのため、「サプリメント食品」に関する消費者問題への対応は「急務」であり、消費者委としても「重要事項であると認識」していると表明し、建議を行いたい考えを示した。今後、「調査審議を行っていく」という。

「もはや表示の問題を超えている」

 意見では他に、制度見直し後の機能性表示食品にも言及した。「表示中心の届出制としたまま、表示との関係性の必ずしも強くない事項についての事業者の義務を強化する方向性は、消費者にとっても事業者にとっても不透明だ」と指摘。答申書や意見書を取りまとめた16日の会議でも、委員から、「もはや表示の問題を超えている。食品表示基準を超えた正面からの対応が必要だ」とする意見が上がった。消費者保護のためにサプリメント全体を包括的に規制する「規律」を求める消費者委の意見に対し、政府が今後どう対応していくのかが注目される。

【石川 太郎】

(冒頭の写真:16日の本会議に行われた記者会見の様子。左が鹿野委員長。右は、答申書や意見書の内容検討を担った消費者委食品表示部会の部会長も務める今村知明委員)

関連資料:食品表示基準案に係る答申(消費者委員会のホームページへ)
    :サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見(同上)
関連記事:消費者委、きょうにも答申へ 機能性表示食品制度の見直しに大きく関わる食品表示基準改正案

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