風評被害はどこまで広がるのか(2) 発売延期も~OEM受託メーカーのケース
風評被害を何とか食い止めるため、全国紙に1面広告を出稿した食品素材メーカーの協会もある。小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売していた紅麹関連製品と同列に扱われるのを避けるための苦渋の選択だろう。このように、風評被害は単一素材の枠を超え、他の素材、他の業界にも広がり始めている。
前回、通信販売メーカーを中心とした川下に位置する事業者の影響について報告したが、上流で活動するOEM受託企業や原料メーカーはどういう状況に置かれているのか。また、食品業界をカウンターパートとする異業種のコメントも紹介する。
厚生労働省は5日、小林製薬の紅麹原料を仕入れていた173社について健康被害の報告が1社もなかったことを明らかにした。その中の1社、GMP認定工場を持つOEM受託メーカーは次のように話す。
「販売会社から、商品に紅麹原料が混入しているリスクはどうか? 過去に小林製薬の原料を使用していたか? 先週まではこのような問い合わせの電話がひっきりなしだったが、今週になって少し落ち着いた」という。
企業名がオープンになったことから、同社が紅麹原料を扱っていることを販売各社が知ったため、紅麹とは無関係の商品に対しても「うちの商品には紅麹原料は含まれていないよね」という念押しの確認。また、紅麹原料を製造した製造ラインと同じラインを使ったのかどうか、使った場合、紅麹原料を製造した前だったのか後だったのか、という細かい質問にも対応する時間を取られたという。
さらに、機能性表示食品というワードが世間ではマイナスイメージで語られていることから、商品の発売時期を延期する販社。原料の取り扱いなどについて「改めて監査させてほしい」という販社も出て来た。
醗酵食品を扱っている原料メーカーはどうか。原材料GMP認証を受けている原料メーカーでは、「小林製薬の原料を扱っているかという問い合わせはあった」と担当者。NB商品の中で、小林製薬社製のものではない紅麹原料を使用しているものがあるが、「原料を引いている受託製造企業から小林製のものではないという見解書をもらっているので問題ない」とのこと。
キャンセルなど売上に響くような直接的な影響は今のところ受けていないものの、今後、買い控えなどによる影響が心配だと話す。
健康食品の包材などを扱っている印刷会社の担当者は、「今後風評被害的な要素もあり、サプリメントに対する風当たりも強くなるのではないか。販社からの包材発注も減少傾向になる可能性があるのではないか」と危惧している。業界の枠を超えて広がりを見せる小林問題の行方に目が離せない。
(つづく)
【ウェルネスデイリーニュース編集部】