(株)東洋新薬は、クライアントのニーズに応じた幅広い剤型やヘルスクレームの健康食品・特定保健用食品（トクホ）・機能性表示食品、化粧品・医薬部外品をスピーディーに提案し製造する。今年7月から、同社が運営する初の物流拠点「関東ロジスティックス」で消費者への配送代行サービスを開始した。髙垣欣也副社長に話を聞いた。

　――商品開発におけるこだわりについてお聞かせください。

　高垣　当社は、健康食品・化粧品業界を陰で支えるODEM（ODM＆OEM）メーカーです。「世界の人々の健康と美への期待に、価値で応えていく」をミッションとしています。製品、サポート、エビデンスなどのあらゆるシーンで究極の価値である『HIGH-END VALUE』を実現し、人々の豊かな生活に貢献し続けます。

　粉砕設備、造粒設備、打錠設備、充填・包装設備など一貫した製造体制を完備し、高品質で安心・安全な商品の提供を第一に考え、総合受託メーカーとして初めてNSF-GMP登録工場となりました。また、健康補助食品GMP適合認定、ISO9001：2015、ISO22000：2005の各認証を取得し、化粧品分野ではISO22716に準拠したより安全・確実な運用を行っています。

　――引き合いが多い素材は？

　高垣　最も多いのは、独自素材の「葛の花エキス」です。トクホ・機能性表示食品の採用実績の多さから、多くの企業に支持されています。その次が「ターミナリアベリリカ」で、機能性表示食品の実績があります。「フラバンジェノール」も以前から引き合いがあり、機能性表示食品や医薬部外品への配合実績があります。

　――トクホ・機能性表示食品の実績は？

　高垣　当社は、2005年に品目数でトクホ許可取得実績1位を獲得し、19年8月末現在で260件の許可品を保有しています。迅速な許可取得を支援すると同時に、研究データの取得などのサポートを行っています。機能性表示食品では、それらの許可実績で培った研究力をベースにした16のヘルスクレームと、葛の花由来イソフラボン、ターミナリアベリリカ由来没食子酸、松樹皮由来プロシアニジンなど16種類の機能性関与成分による届出実績があります。

　――届出前後のサポート体制はどのような内容ですか。

　高垣　当社では、機能性表示食品の事後検証を見据えた届出を行っています。独自の基準を設けて、既に機能性表示食品として採用されているものも、1報でも多く安全性や新たな機能性の根拠を得られるように研究を進めています。

　――通販事業者からの要望で多いものは？

　高垣　適切な表現ができる機能性表示食品の開発支援や、確かなエビデンスがある商品開発を求められています。また最近では、健康食品だけでなく、化粧品や医薬部外品などの開発依頼が増えてきました。製造者・開発者目線で、差別化できる商品づくりや、消費者に受け入れられる安全かつ確かな商品づくりの提案を行っています。

　――今年7月に開始した消費者への配送代行サービスは、どのような内容ですか。

　高垣　今年7月に、埼玉県川越市の当社が運営する初の物流拠点「関東ロジスティックス」で、健康食品や化粧品の消費者への配送代行サービスを開始しました。昨年12月に開設し、物流事業の立ち上げを進めてきました。在庫調整から保管、ピッキング、検品、流通加工、配送代行を当社が一貫して受けることで、クライアントの物流業務のコスト削減が実現できます。

　消費者への配送リードタイムの短縮も期待できます。商品の開発・製造から消費者への配送までワンストップで受託しますので、メーカー直送体制を実現できます。新たな拠点として、また既存拠点の見直しなどで、多くの相談が来ています。特に当社が製造を受託しているクライアントは、製造した商品を一度指定の倉庫に納品する工程が削減できますので、物流コストやリードタイムの削減などの点でニーズが高まっています。

　――通販市場の課題についてお聞かせください。

　高垣　健康食品については、広告表現の規制が強化される一方で、せっかくの機能性表示食品制度が消費者に正しく理解されておらず、活用し切れていないように感じます。消費者への啓蒙が必要です。1企業だけの問題ではありませんので、行政を含めて業界全体で取り組む必要があると思います。

　――ありがとうございました。

（写真：高垣欣也副社長取締役）

【聞き手・文：藤田　勇一】

※詳細は「Wellness Monthly Report 第16号」（10月31日発刊号）に掲載。