輸入原材料GMP認証、審査体制固まる JIHFS、天然物のエキスパートら有識者3人が就任
健康食品GMP第三者認証機関の(一社)日本健康食品規格協会(池田秀子理事長。以下、JIHFS)が今夏から新たに始めた「輸入原材料GMP認証」。現在、複数の健康食品原材料輸入事業者が認証取得申請に向けた書類作成を進めている。早ければ、最初の認証取得輸入原材料が年内にも出てきそうだ。
認証審査の体制は固まった。審査員の長には、袴塚高志・日本薬科大学薬学部教授が就いた。袴塚氏は、国立医薬品食品衛生研究所生薬部長などを歴任。最近まで、厚生労働省の食薬区分ワーキンググループの構成員も務めていた。
他の審査員には、元国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏、元日本漢方生薬製剤協会国際委員会長の諸田隆氏(元ツムラCMC開発研究所長)が正式に就任した。
天然物の安全性・有効性や品質保証などのエキスパートである袴塚氏と諸田氏、健康食品の安全性から機能性まで造詣が深い梅垣氏の3人が審査に当たる。他に、JIHFSの内部監査員や内部審査員を加えた総勢6~7人の体制で審査会を構成する。
第3の原材料認証「安全性自主点検」の審査も担当
袴塚氏を長とする審査会の審査対象は、輸入原材料GMP認証だけではない。同認証と同様に、JIHFSが新たに始める「原材料の安全性自主点検に対する認証」の審査にも当たる。
原材料安全性自主点検認証は、現在は消費者庁が所管する、健康食品の安全性確保や製造・品質管理などに関する指針、通称「3.11通知」を土台に敷いたもの。同通知の別添1の主要指針の一つである「原材料の安全性に関する自主点検フローチャート」に則し、かつ適切に、原材料の安全性が点検されていたり、判断されていたりするかをその時点での知見に基づき審査し、適切性が認められたものを認証する。当初の予定より遅れているが、年末までに認証申請の受付を開始する予定だ。
JIHFSは今後、健康食品の原材料をめぐり3つの第三者認証を運用していくことになる。
まず、2005年から実施してきた、国内の健康食品原材料製造工場のGMP認証。現在、21工場を認証している。その上で、第2の認証として、輸入原材料GMP認証をスタートさせた。
国内製造の原材料よりも流通品目数、流通数量ともに多いと考えられる輸入原材料の安全性や品質などの客観的な確認手段が課題視されてきた。だが、輸入原材料GMP認証を取得した原材料が市場に普及すれば、課題の解消につながる。認証を受けるには、海外から輸入した製造ロット毎に国内で分析を実施し、含有成分などの規格を定めた製品標準書との同等性、均質性を確認する必要もある。
そして3つめの認証として、原材料安全性自主点検認証を運用する。
JIHFSは、同認証と、原材料GMP認証や輸入原材料GMP認証を一体的に運用していきたい考え。国内製造のみならず、輸入原材料の製造工程管理や品質管理をそれぞれ一定のGMP規範に基づき評価することで、安全性と品質が、製造ロットごとに客観的一貫性をもって担保できるようになる。さらにJIHFSは、同認証とは別建てで、3.11通知を踏まえた原材料安全性自主点検に不可欠の「網羅的な文献検索」のサポートも新規事業の一部として予定している。
改正・機能性表示食品制度、原材料の安全性確認が重要に
3.11通知は、ここにきて存在感が大きく高まっている。9月1日に一部施行された改正機能性表示食品制度と不可分の関係になったからだ。
同通知の別添2「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針」の内容は、サプリメント(天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品)を届け出る場合に遵守する必要のある製造・加工基準を規定した法令(通称「GMP告示」)に反映された。
「原材料の安全性に関する自主点検フローチャート」を含む別添1についても、年度末までに法令化(告示化)、来年4月1日施行が予定されている。
【石川太郎】
(冒頭の画像:JIHFS新認証のロゴマーク。上は輸入原材料GMP、下は原材料安全性自主点検認証)
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