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新通知、GMP認証機関はどう見るか (一社)日本健康食品規格協会、池田秀子理事長に聞く

 輸入製品も含め4つのGMP規範を用意している健康食品GMP認証機関の(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)。前理事長の故大濱宏文氏(医学博士)がサプリメントの法制度化を促すため2000年代初頭に考案した法案試案の品質事項には、原材料から最終製品まで、GMPでの製造管理が規定されている。大濱氏の意思を継いだ現理事長の池田秀子氏(=写真)は「新・平成17年通知」をどう見るか。サプリメントにGMPが必要な理由も聞いた。
(編集部注:この記事は『ウェルネスマンスリーレポート』2024年3月10日発刊号に掲載したものです)

機能性表示の有無で食品を区分する日本

 日本は機能性表示の有無で食品を区分しています。そのため、サプリメント形状の食品は、機能性表示を行える保健機能食品にも、それが全く認められない一般食品にも存在します。しかし海外は違う。「食事を補充するもの」としてサプリメントを通常の食品とは明確に区別し管理する制度を設けています。

 そうした制度の本質は、サプリメントのリスクを管理することにあります。サプリメントは、天然物から抽出、濃縮した成分や化学的合成物質などの特殊な原材料を主成分として配合し製剤化したものです。ですから通常の食品とは目的も成分も異なる人工的な食品です。成分の特殊性から、通常の食品とは異なるリスクを有している。また、その形状から、過剰摂取のリスクもある。そのため、通常の食品よりも高い安全性と品質の確保が求められます。それを実行するための手段がGMPです。

 サプリメントの有効性は、安全性に裏打ちされている必要があります。それが大前提です。そして安全性と有効性を担保する役割を担うのが品質です。安全性、有効性、品質の3要素が科学的エビデンスによって説明される必要があり、それらエビデンスが最終的には製品の表示、つまりヘルスクレームに帰結し、消費者の選択に委ねられることになります。

 サプリメントの安全性を担保するためにはまず、原材料の安全性と最終製品の設計が重要になります。その上で、品質に関しては、通常の食品の場合は衛生管理を主体とするHACCPやFSSC、ISOなどの食品安全システムが採用されていますが、サプリメントの場合、製造工場が数千種類に及ぶ原材料を取り扱うことも珍しくありませんし、それらを使用した多種多様な商品を日々製造しています。そのため、あらゆる汚染を防止する環境下で最終製品が正しく製造され、設計された規格を全て満たし、かつ、一定の安全性を保障するための厳密な品質管理が求められます。ここに、サプリメントの製造と品質管理のために、医薬品を参考にしたGMPが国際的に導入されている理由があります。

原材料GMPもある日本、他国の上へいけるはず

 米、カナダ、オーストラリア、ASEAN(東南アジア諸国連合)などは、サプリメントの製造と品質管理にGMPを義務化していますし、EUは、HACCPとGMPによる管理を義務化しています。成分と目的、そして形状の特殊性が医薬品に近いことから、通常の食品と同じ方法でリスク管理するのではなく、食品と医薬品の中間に位置する第三のカテゴリに位置づけてリスクを管理する方法を採用し、高度な衛生管理と厳密な品質規格を保証するシステムとしてGMPを義務化しているのです。輸入サプリメントにも当然、GMPが要求されています。

 GMP義務化を最初に実施したのは、1994年に世界初のサプリメント法を制定した米国でした。2007年、GMPに関する法令(ダイエタリーサプリメントの製造、包装、表示、保管のためのcGMP)を交付し、2010年から、すべてのサプリメントの製造、保管、小売店を除く流通事業者に対し、GMPを完全義務化しました。

 日本は今のところ指定成分等含有食品を除いてGMPを義務化していません。ですがGMPのガイドラインの公表は米国よりも早かった。平成17年通知の「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係わる基本的な考え方について」がそれです。この通知に基づき、日本健康・栄養食品協会と私たちJIHFSの2つの民間機関がGMP認証を開始することになりました。行政によるガイドラインに基づくGMP認証も、米国よりも先行して実施していたのです。

 JIHFSでは4つのGMP規範を設けています。健康食品GMP、原材料GMP、輸入健康食品GMP、輸入原材料GMPの4つです。輸入製品に関してもGMP規範を設けたのは、平成17年通知の対象に輸入者も含まれていたためです。

 また、私たちは米国が現在も導入できていない原材料GMPの規範を当初(平成17年)から用意し、認証を行ってきました。その後、日本健康・栄養食品協会も原材料GMP認証を始めることになりました。原材料の製造と品質管理もGMPで行うことで、最終製品の安全性と品質をより高いレベルで確保できるようになります。それに、最終製品製造工場で行う原材料受け入れ試験のコストを削減できるメリットもある。最終製品だけでなく原材料GMP認証も行っている日本のGMPは、諸外国よりも優れているのです。輸入も含めた原材料から最終製品まで、GMPの製造と品質管理にしっかり取り組むことで、日本のサプリメントの品質は他国の遥かに上へ行けるはずだと考えています。

新・H17年通知を所管する消費者庁はどう運用するか

 平成17年通知は、原材料の安全性確認とGMPでの製造、品質管理があたかも別々であるかのような建付けでした。それに、どちらかといえばGMPで最終製品の均一性を確保することにポイントが置かれているかのように見える通知になっていた。実際に業界もそのように動き、現在までに、最終製品の製造工場に対するGMP認証については全体の8~9割を占めるまで社会実装されています。

 一方、新たな平成17年通知は、原材料の安全性確認とGMPでの製造、品質管理は一連なのである、ということを全面に打ち出す作りになっています。まずは原材料の安全性を確認する。次に製品設計を適切に行う。製品設計は平成17年通知では求められていなかった要素です。GMPでの製造と品質管理は、それらを適切に実施した上で意味を持つのだという、国際的にサプリメントに求められている安全性と品質を確保するための順序立てを明確に強く打ち出した通知になっています。

 また、そうした一連の流れは、最終製品のみならず原材料にも当てはまると言っています。ですから原材料メーカーがこの通知を読む際には、原材料の1つ前の段階である基原材料(原材料を製造・加工するために使用する動植物やその特定の部位など)に立ち戻る必要があります。原材料とは、安全性が評価された基原材料から成り立つものであり、そうした原材料について製造や加工方法を含めた安全性確認、適切な製品設計、GMPの3つを実践して欲しいと求めています。

 新たな通知のポイントは、基原原料から最終製品までの安全性確認と品質管理を一本化したこと。さらに、製品設計という重要な要素な新たに加えたこと。そして、原材料から最終製品まで、製造・販売する事業者の全てが対象であることを明確に示したことです。当然、輸入事業者も含まれます。新通知では、製品設計が盛り込まれましたから、商品企画だけを行っている事業者も対象になるでしょう。

 今後のポイントは、食品衛生基準行政が厚生労働省から移管され、この通知を所管することになる消費者庁が、通知の対象となる食品の製造や品質管理の現状をどう捉え、通知をどう運用していくのか、になろうかと思います。監視と指導は厚生労働省にとどまることになりますが、現状に強い危機感を感じれば、大ナタを振るうこともあり得るだろうと思います。

求められるサプリの定義、「いわゆる」のまま限界

 私は、新通知を、業界が次のステップに踏み出すためのきっかけになるものと見ています。業界は、次の発展につなげるために、この通知を具体化していって欲しいと思います。私たちJIHFSも、それを支えるための活動をしていきます。

 通知の内容に疑問がない訳ではありません。GMPとHACCPをどう融合させていくのか、また、品質部門の業務と位置づけには曖昧さが残されています。GMPにおける品質部門には2つの要素があります。クオリティコントロール(品質管理:QC)とクオリティアシュアランス(品質保証:QA)です。通知のいう品質部門には、すでにQAの要素が入っていると解釈しないと成り立たない部分がありますが、その点が通知に明確に記載されていませんので、少し混乱しています。ちなみに、医薬品のGMPにせよ、海外のサプリメントGMPにせよ、QCとQAを区分しています。それはGMPの基本思想とも言えるもので、ASEANのサプリメントGMPもそうなっています。ですがそれをするには人材がさらに必要になりますし、短期間で対応できるものでもありません。ここは今後の課題と受け止めています。

 いずれにせよ、サプリメントのGMP認証が日本で始まってから約20年を経て、その基盤である平成17年通知が大きく変わります。一方で、GMPは事業者の自主的な取り組みとして位置づけられたままであることに変わりはなく、私たちGMP認証機関には、国の支援も関与もないままです。

 サプリメントの品質担保にGMPが不可欠であることはもはや疑う余地がありません。しかし、最初の話に立ち返りますが、海外のようにサプリメントの成分、目的、形状の特殊性に着目した区分ではなく、機能性表示の有無で食品を区分けしているため、機能性を表示した食品にも一般食品の中にも生鮮食品からサプリメントまでの多種多様な形状の食品が混在する日本では、GMPを適用するにしても、その対象と品質管理が曖昧になりやすい課題があります。

 そうした課題を解消し、サプリメント製品全体の安全性と品質を保証するためには、サプリメントの定義に加え、食経験が少ない新規成分の安全性評価を含めた原材料の安全性確認とGMPの義務化が強く求められます。国際的に見ても、私には、いわゆる「健康食品」のままでこの先もやっていくことの限界に来ているように思われます。

【聞き手・文:石川太郎】

(下の画像:JIHFSの健康食品GMP認証マーク)

プロフィール
池田秀子(いけだ ひでこ):北里大学薬学部薬学科卒。薬剤師、臨床検査技師。東京田辺製薬㈱研究開発本部などを経て2013年9月より現職。バイオヘルスリサーチリミテッドの取締役社長も務める。

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