軽症者データの使用範囲拡大~消費者庁・赤崎課長インタビュー(後)
<MCIをめぐる意見>
――「認知機能領域」は軽症域を設定しないとしたものの、MCI(軽度認知障害)の人を健常者の範囲に入れた。検討過程では、「MCIは軽症域と考える場合もある」という指摘もあったが。
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消費者庁食品表示企画課の赤崎暢彦課長
赤崎 検討の場では次のような意見が出た。「複数存在するMCI診断基準には『認知症ではない』という項目が共通して存在し、認知症が発生した状態ではないと定義づけられている」。「MCIはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症を発症する前の通過点であり、病理学的に進行性の疾患のMCIであれば、臨床的には境界域であるが、既に病気のプロセスが始まった状態であるとの考え方もある」。「MCIが不可逆的な状態でなく、健常者に戻り得る状態であるのであれば、軽症域者ではないとも考えられる」などである。
これらの意見を踏まえ、機能性表示食品制度の運用ルールの線引きとして、MCIについては軽症者ではなく、健常者に含めて差し支えないこととした。ただし、(今後の医療界の動向によっては)MCIの健常域と軽症域の区分を将来的に見直すことの検討が必要となる可能性もある。
<現行と同じ判断基準により、表示内容を確認>
――改正された届出ガイドラインでは、追加した3領域の機能性表示のあり方に言及していないが、どのような表現が許容範囲となりそうか。
赤崎 消費者が疾病の予防・治療を目的とするものと受け止めないか。また、届け出ようとしている食品と違うものと受け止めないか。そうした観点から、従来どおりのスタンスで、届け出された機能性表示の内容を確認する。
――「花粉」を強調したり、軽症者データを強調したりする表示・広告が出てくる懸念もある。
赤崎 機能性表示のチェックは従来どおり行う。軽症者データを使用できるようになったからと言って、機能性表示が医薬品的な効能・効果の標榜に近づいてもよいというわけではない。これまでと同じ判断基準の下で対応する。
――ありがとうございました。
(了)