解説・ブロリコ事件、免疫力向上による効能効果の根拠なし(中)
<成分名と最終商品名が同一の問題>
ブロリコ事件の特徴として、成分と最終商品の名称が同一だったこともある。成分の効能効果を説明すれば、消費者の頭に「免疫力を高めるブロリコ」という言葉を刻み込むことになる。そうした情報がインプットされた消費者が、同じ名称のサプリメントの広告を見れば、サプリメントに同様の効能効果があると考えるだろう。
成分名を最終商品名に使用するケースは、乳酸菌分野で多い。ヨーグルトや乳酸菌飲料で、成分名(乳酸菌株の名称)を最終商品に使用している有名ブランドがいくつか思い浮かぶ。各企業に共通するのは、乳酸菌株の名称を強調しながら、その効能効果をウェブ広告などで標ぼうしていること。これに加えて、成分広告とは別途、同じ乳酸菌株を使用したヨーグルトや乳酸菌飲料の広告を展開していることも共通点と言える。
また、冬が近づくこれからのシーズンには、テレビやウェブ上で、手洗い、うがい、マスクなどを絡ませながら、あたかもヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取によって、風邪やインフルエンザを予防できると消費者に誤認を与える広告が展開される。
そうした広告手法は、関連法規の盲点を突いた脱法行為に当たると考えられる。大手食品企業が率先して、そうした悪質な広告を展開する傾向にある。
独自性のある成分名を最終商品名に使用した広告手法については、消費者の適正な商品選択の観点から、行政による取り締まりの強化が求められそうだ。
(つづく)