解説・ブロリコ事件、免疫力向上による効能効果の根拠なし(前)
<成分広告と最終商品を結び付ける手法、明確となった違法性>
消費者庁が1日に実施した健康食品販売会社のイマジン・グローバル・ケア(株)(東京都港区、木下弘貴代表)に対する景品表示法に基づく措置命令は、「成分」の広告と見せかけながら最終商品と結び付かせるという手法が、違法行為であることを明確にした。
同社は、「ブロリコ研究所」と称するウェブサイトで、ブロッコリーから抽出したブロリコという成分について「免疫を高める」旨を説明。「免疫力を高めるブロリコ 資料の無料送付はこちら」をクリックして資料を請求した消費者に対し、同成分の免疫力向上に関する効能効果をうたった冊子とチラシを送付するとともに、最終商品の注文ハガキ付きチラシと無料サンプルを送付していた。
健康食品業界では、「〇〇研究会(〇〇は成分・素材名)」などと称する多数の団体が、健康食品に使用する成分・素材の効能効果について普及啓発活動を展開している。学識経験者を「〇〇研究会」の代表に据え、一見したところ、学術団体であるかのような装いをしているケースが多い。しかし、健康食品企業が成分・素材の効能効果を周知するための“隠れ蓑”として、「〇〇研究会」を動かしているというのが実態だ。
「〇〇研究会」を利用した事例で有名なのが、サン・クロレラ販売訴訟。「日本クロレラ療法研究会」が発行していた折り込み広告で、クロレラやウコギの疾病改善効果を記載。同研究会に資料請求すると、同社が販売する最終商品の資料が送付されるという仕組みだった。京都地裁は、同研究会と同社が一体的なものと判断し、広告の差し止めを求めた原告の主張を全面的に認めた。
今回のブロリコ事件は、国が景表法の観点から違法と認定した。健康食品業界に蔓延している成分広告を悪用した広告手法が、違法行為に該当することを再認識させる機会となった。
(つづく)