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緑茶成分、加齢性難聴に有効かどうか 伊藤園と北里大が共同研究開始

 緑茶に含まれる成分が加齢性難聴に有効かどうか──。㈱伊藤園(東京都渋谷区)と、北里大学医学部(神奈川県相模原市)の藤岡正人教授、長尾和右講師らの研究グループが、それを検証するための産学共同研究を始めた。iPS細胞創薬技術を、機能性食品やヘルスケア領域に応用する珍しい研究になる。同社と同大が22日、発表した。

iPS細胞創薬技術を機能性食品の開発に応用

 発表によると、北里大は、難聴患者の採血検体からiPS細胞を樹立すると共に、病気の内耳細胞を作成して病気の原因や治療法探索を調べる研究技術を有しているという。今回の伊藤園との共同研究では、同技術を用い、同社中央研究所が保有する数多くの緑茶成分の中から内耳細胞保護機能を有する成分を探索する。

 「iPS細胞技術の健康食品・ヘルスケア領域への応用は世界的に見ても乏しく、本研究は、iPS細胞の活用方法としての裾野を広げる重要な社会実装研究につながると考えられる」。両者は発表の中でそうコメントした。また、「ヒト細胞を活用して加齢性難聴に対する効能効果が実証された医薬品は国内外ともに皆無であり、その基礎研究は社会的にも、科学的にも意義深いものと言える」ともしている。

動物実験の代替法につながる可能性も

 機能性食品などヘルスケア製品の研究開発にiPS細胞を活用できるようになれば、実験動物を使わずとも、安全性や有効性などを検証するために、質の高い基礎研究を行えるようになる可能性がある。その点からも今回の共同研究は注目されそうだ。

 アニマルウェルフェア(動物愛護)やサステナビリティ(持続可能性)などの観点から、動物実験の廃止を求める声が世界的に高まっている。その中で、伊藤園グループは以前から全ての製品開発について動物実験は行わない方針を掲げていると言い、「社会的責任を果たすとともに、事業のグローバル化に対応する大手企業が抱える開発ニーズを満たす、先進的な実学研究と考えている」ともコメントしている。

【石川太郎】

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