総医研、抗疲労・脂肪燃焼に定評 【機能性表示食品特集】コロナ禍で浮上した新たな課題克服へ
㈱総合医科学研究所(大阪府豊中市、杉野友啓社長)は、「抗疲労」、「エネルギー代謝(脂肪燃焼)」領域のヒト試験を得意とする。機能性表示食品のニーズは新規成分による届出サポートが中心。コロナ禍に伴い、来床試験に対する新たな課題も見つかった。杉野友啓社長に話を聞いた。
6台の呼気ガス分析装置保有
同社は食品臨床試験で400件以上の実績を持ち、特定保健用食品(トクホ)申請用試験はそのうち100件を超える。バイオマーカー開発を含めたヒト試験受託以外にも、医薬品の臨床開発支援、ヘルスケアサポートサービス(特定健診・特定保健指導)を行っており、業界内のネットワークも広い。
ヒト試験受託では、生活習慣病領域の血圧、血糖、コレステロール、体脂肪、中性脂肪以外にも、疲労、眼精疲労、運動機能、睡眠、肌などの幅広い領域で実績がある。トクホの申請用試験としても、体脂肪、食後中性脂肪、コレステロール、食後血糖、血圧、整腸などの試験をカバーしており、その多くが新規関与成分に関するもの。
同社のヒト試験施設「江坂リサーチセンター」(大阪府吹田市)には、「疲労評価試験」、「睡眠評価試験」、「肌評価試験」、「呼気ガス分析による脂肪燃焼評価試験」、「血管内皮機能評価試験」などの各種ニーズに対応した設備がそろっている。また、温度・湿度・照度・音などを徹底管理することで、最適な試験環境を整備している。コンプライアンスに優れた5万人の被験者バンクから該当者を抽出し、迅速で安定的に被験者を確保している。
受託で最も多いのが抗疲労試験で、次いで脂肪燃焼試験(脂質代謝系の試験)。呼気ガス分析による脂肪燃焼試験を得意とする。同社の臨床試験専用施設「江坂リサーチセンター」(大阪府吹田市)には、1台600万円を超える高価な測定機器(呼気ガス分析装置)を6台設置している。保有台数では業界トップを誇る。
機能性表示食品の試験が半数
2015年、機能性表示食品制度が発足。機能性表示食品の受注がトクホを上回り、同食品に関する試験が全体の5割を占めるほどに拡大した。年間で平均20件程度を受注し、機能性表示食品に関する臨床試験はこれまでに50件超の受注実績を持つ。同制度の施行によりエビデンス重視の考え方が業界に浸透。届出以外で、安全性に関するエビデンスを求めるユーザーが増えた。新規事業の立ち上げに伴う異業種からの問い合わせも急増し、臨床試験は内科以外の領域にも広がりを見せた。18年当時で受託率は前年比200%を超えた。それらの領域もカバーできるようにスタッフも増員した。
ところが2020年初頭から我が国でも新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、特定のスペースに被験者が集う必要のある臨床試験はコロナの影響をまともに受けた。臨床試験の実施そのものが難しい状況となった。同社は、調査票は郵送あるいはWEBで実施、問診は電話やメールで実施するなど、来所の機会を少なくする対策を講じた。他方、コロナの影響で被験者サイドの勤務サイクルが変化したため、これまでは土日に集中していた試験を平日にも実施できるようになるというメリットもあった。
同社の杉野社長は、「以前は半日で1検査会場当たり200人規模の試験を実施していたが、今では多くても70人まで。平日、数回に分けて行う必要がある。以前だと1日で終わったものが今では3日になる」と話す。今後、来所を減らして行うことのできる試験系の確立は必須という。
コロナ禍の影響が弱まるにつれ、市場は回復傾向にある。むしろ今までストップしていた試験が一気に始動し始めた。最近では、参入が増えた医療用医薬品メーカーからの引き合いもあり、拡大する機能性表示食品への期待は大きい。
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事業内容:臨床試験の受託事業
(冒頭の写真:杉野友啓社長)