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紅麹サプリ論議~武見VS唐木 「いわゆる健康食品はノンルール?」(反町キャスター)

 きのう4日、BSフジの「プライムニュース」で紅麹サプリメントによる健康被害を取り上げた。厚生労働大臣の武見敬三氏と東京大学名誉教授の唐木英明氏がゲスト出演した。

 紅麹を巡る問題に関連して、先週、小林製薬は厚労省に対して、新たに76件の紅麹サプリとの関連が疑われる死者数を報告した。企業側の落ち度に注目が集まっている中、番組では、問題の本質は何なのかに迫った。

 番組ではまず、健康被害問題を時系列で紹介。6月28日の段階で、小林製薬からこれまで5人と報告されていた関連死疑いの人数がいきなり76人に跳ね上がった原因について、武見厚労大臣に聞いた。

 大臣は、これまでの報道でも繰り返し述べてきたコメントに付け加え、「すでにこれだけ大きな問題になってる時に、たとえ遺族からの問い合わせであって、医師からではなかったとしても、医師の診断が関わっていなかったとしても、疑わしきものの1つとしてきちんと報告すべき対象に入れるのが当然。人の命を一体何だと考えてるんだ。小林製薬はどういう考えでこういう調査をし、報告をしているのかということに大変疑問を感じた」と説明した上で、記者会見で怒りをあらわにした点については、「大人げなかった」と弁解した。

 これに対して唐木氏は、「責任というと小林製薬の方が大きいけれども、厚労省も少しその辺配慮が足りなかった。それは3月29日に5人の死亡を報告してから3カ月間ずっと死者は5人のままだったが、その間病院に行った人、入院した人は右肩上がりに上がっていった。これは誰が見てもおかしい。私は厚労省と小林製薬が何か話し合いがあって5人で止めていて、因果関係が分かった時点で発表するのかなと思っていたが、大臣に伺ったらそういうことはないということなので、小林製薬がもっと早く発表すべきだった。ただし、いつの時点で発表すべきかというガイドラインもない」と指摘。
 また、3月の公表時と違って、商品の流通は止まっているため、同じ商品でこれ以上の被害が出ることはない。その安心と、風評被害拡大による株主への配慮などから報告を思いとどまった可能性もある。さらに厚労省から問い合わせがあったこと、そして9月の法改正によって健康被害情報の報告が義務付けられることが決まったために、このタイミングで報告したのかもしれないとの推測を述べた。

 これに対して武見大臣は、「国民に不安を持たせてしまったという責任が小林製薬にはある。こうした事例があったとすれば、逐次、調査についての結果をより緻密にきちんと厚労省に報告すべき。そういう立場に小林製薬があったと思う。なぜ遅れたのかということについて、私は今でもその原因がよく分からない。ただ単にガバナンスが杜撰なためにこうなったのか、判断ができずにただひたすら時間を費やしたのか、あるいは場合によってはもっと隠蔽体質があったのか、その点についてはこれからしっかり、経緯も含めて調査をして、最終的な判断を下さなければいけない」と今後の方針を示した。

 「健康食品事業者に対して免許の取り下げみたいなルールはあるのか」、「厚労省は小林製薬に操業停止処分を出すことができるのか」、「被害者の救済制度はあるのか」――キャスターの反町理氏は、消費者目線に立った質問を矢継ぎ早に発して、ゲストからの回答を引き出した。

 法律の話になった。
 反町キャスターは、「厚労省が管轄するところの食品衛生法によって安全は制度的には十分担保されていると思っていいのですか」と聞いた。

 唐木氏は答えた。「そこが大問題ですね。いわゆる健康食品というのはほとんどが錠剤、サプリメントの形状です。錠剤サプリメントの形状というのは、有効成分を濃縮して、そしてそこに閉じ込めて飲みやすくして、そしてそれを毎日毎日飲み続ける。化学物質は高濃度を飲めば有効性も高いけれども、毒性も高くなる可能性があります。その毒性が高いものが健康被害を起こしたということですから、錠剤サプリ形状の健康食品というのは一般の食品とは違った規制をしないといけないというのが専門家の考え方ですが、食品衛生法上ではこれができていないというところが非常に大きな問題だと思います」

 「それを食品衛生法で管理、規制するにしても安全性には限界がある。新たな規制が必要だという意味でよろしいですか」とさらに聞いた反町キャスターに対し、唐木氏は「そのとおり」と答えた。

 武見大臣は、食品表示法と食品衛生法の組み合わせの中で、機能表示については消費者庁が、食品としての安全性の衛生管理については厚労省が、両省庁の連携の中で行っている。今回のケースは、個別の企業の問題か、あるいは制度そのものの問題か、そこが争点になるが、今のところ結論は出せない。ただし、小林製薬の個別企業としての問題点というのもかなりあると強く感じていると述べた。
 さらに、厚労省が所管する食品衛生法と消費者庁が所管する食品表示法をきちんと守っていれば「今回の問題は起きなかったはず」とした。

 ①「特定保健用食品」、②「栄養機能食品」、③「機能性表示食品」④「その他のいわゆる健康食品」の分類を示したフリップについて、安全性に対する規制のレベルが同じなのかどうか、反町キャスターは疑問を持った。
 
 ①~③については、食品衛生法と食品表示法によって規制を受けているため、概ね制度として安全性は担保されているが、④については規制がかからないことが問題だと唐木氏が指摘した。
 
 被害救済の話に及んだ時にサプリメント法の話が出た。

 反町キャスターが、医薬品と違って被害者の救済制度がないとすれば、賠償能力のない企業の商品で健康被害に遭った人は「泣き寝入りするしかないのではないか」と指摘した時、唐木氏が「保健機能食品はサプリメント法という新しい法律を作って別途にする。食品とサプリメントと医薬品という3本立てにして、そしてサプリメントについては非常に厳しい規制をする。そして救済制度を作る。こういう新しい仕組みを作らないといけないと専門家は皆考えているのですが大臣にはぜひその辺を考えていただきたい」と述べた。

 武見大臣は「今後のあり方については今回の調査をした上で改めて考えることになると思う。とりあえず、5月末で中間取りまとめをして、その中で実際に現行法の中で省令を通じて義務化という措置を通じて対応している」とした。

 「この部分(④その他のいわゆる健康食品)がノンルールになっていないかという印象がある」と、なおもわだかまりが払しょくできない反町キャスターに対し、武見大臣は、「今回、省令による義務化を行ったわけで、これに基づいて実際に再発防止の効果を見ていかなければならない。その過程でさらに混乱が起きるというようなことがあったとすれば、新しい法的な措置についても検討する必要が出てくるかもしれない」と答えた。

 同番組を観たという業界関係者は、「責任を取ることのできない企業による被害については、今後1事例でも法律が不備なために不幸が発生したとしたら、政府の不作為も原因となる。そこが明確に線引きされたように感じる」との感想を述べている。

【田代 宏】

(文中の写真:左から反町キャスター、武見厚労大臣、唐木東大名誉教授)

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