1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. 紅麹サプリ問題、原因はプベルル酸か 厚労省発表、2つのモナコリンK類似化合物に腎毒性は確認されず

紅麹サプリ問題、原因はプベルル酸か 厚労省発表、2つのモナコリンK類似化合物に腎毒性は確認されず

 小林製薬「紅麹サプリ」健康被害事件の原因究明調査を、国立医薬食品衛生研究所と進めてきた厚生労働省は18日、腎機能障害の健康被害情報がある特定の原材料ロットから検出されたプベルル酸など3つの化合物について、ラットを使った動物試験の結果、腎障害を引き起こすのはプベルル酸のみであることを確認したと発表した。

次の焦点、青カビ混入なぜ?

 これまでの調査で、小林製薬が昨年6~8月にかけて製造した、腎機能障害が報告されている同社のサプリメント『紅麹コレステヘルプ』に使われた原材料ロットからは、特定の青カビ(Penicillum adametzioides)が産生するプベルル酸の他に、その青カビが紅麹菌に介在することで生成されるとみられる未知の天然化合物XおよびYが検出されていた。同XおよびYは、小林製薬が製造していた紅麹の有効成分(機能性関与成分)であるモナコリンKと化学構造が類似しており、厚労省によれば、その青カビが紅麹菌に介在することでモナコリンKを修飾した物質だった。

 製造工程の上流に組み込まれていた培養の段階で、その青カビが混入し増殖したと考えられる。

 厚労省は今回の発表で、検出された化合物XおよびYを培養し、それぞれ単品をラットに投与したところ、腎臓に対する毒性は認められなかったとした。他方で、プベルル酸単品を同じくラットに投与した結果、健康被害を訴えた人に目立って所見されているファンコニー症候群の原因になるとされる近位尿細管の変性や壊死などといった腎毒性が確認されたという。

 調査の結果、腎機能障害を引き起こした原因物質はプベルル酸である蓋然性が大きく高まったことになり、今後の原因究明調査の焦点は、その青カビが紅麹の製造ラインに混入した原因の解明に移る。ただ、厚労省によれば、腎毒性の有無を検証するのが目的であったため、ラットには高用量を投与したうえ、試験期間は7日間と短かった。そのため、健康被害が報告されている小林製薬のサプリメントに含まれていたのと同程度の量のプベルル酸を人が摂取した場合、ラットに見られたのと同様の腎障害が引き起こされるかどうかは明らかになっていない。

厚労省、再発防止のため食衛法上の新たな措置検討へ

 厚労省は今後について、「科学的な情報を引き続き収集しつつ、同一の事案の発生を防止するための食品衛生法上の措置を検討する」としている。その検討は、同省が主催する「紅麹関連製品に係る事案の健康被害情報への対応に関するワーキンググループ」(WG)で進めることになる。WGは、医学者ら4人の有識者で構成。座長には、曽根博仁・新潟大学大学院医歯学総合研究科教授(血液・内分泌・代謝内科学分野)が就いた。

 WGは18日夕、初会合を一部公開で開き、事務局を務める厚労省食品監視安全課の担当官らと意見交換を行った。会合で同課担当官は、WGに検討を求める食品衛生法上の措置の内容について、「短期的対応については(食衛法に基づき)大阪市が回収命令をかけ、すでに流通防止措置が取られているため、措置済み」だとし、中長期的対応の要否を検討することになると説明。中長期的対応のあくまでも「例」として、食衛法13条が規定する「基準策定」、同6・7条の「販売禁止措置」、同18条の「指定成分措置」を挙げた。ただ、小林製薬は紅麹関連事業からの完全撤退をすでに表明している。

腎機能障害疑われる死者6人

 この日の会合では他に、小林製薬が昨年7月以降に出荷した、プベルル酸を含むと考えられる紅麹サプリメントを摂取した可能性が高く、かつ、腎障害を発症したり、発症した疑いがあったりする死者数は、8月15日時点で6人であることが明らかにされた。これは大阪市など関係自治体による調査結果を厚労省が分析したもので、サプリの摂取と死亡の因果関係までは明らかに出来ていない。小林製薬に対しては、366人の死亡が遺族らから申し出られていた。

【石川太郎】

(冒頭の写真:健康被害が疑われる紅麹を製造していた小林製薬の旧大阪工場/文中の写真:18日に厚労省内で開催されたWGの様子。構成員の有識者はオンラインで参加)

関連資料

関連記事:小林製薬、健康被害めぐり再発防止策 国の原因究明調査終わらぬ中で公表
    :小林製薬紅麹問題、大阪市が会合 来年3月にも調査結果とりまとめへ


TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ