生んだ2素材、どれも制度対応 【機能性表示食品特集】リコム、キノコ素材で腸内環境から体重減少まで
供給する原材料は2つ。届出サポートを手がける素材も2つ。健康食品原材料の開発、販売を手がける㈱リコム(浜屋忠生社長)は、これまでに開発した「シャンピニオンエキス」と「キトグルカン」の両方を、機能性表示食品制度に対応できるようにした。いずれも特定保健用食品の関与成分としての表示許可を目指して研究開発を進めた経緯がある。
アンモニアなど減らし腸内環境を良好に
リコムがシャンピニオンエキスを開発し発売したのは1989年。現在までに国内健康食品市場では、口臭や便臭など「臭いケア」のカテゴリが確立されているが、シャンピニオンエキスが無ければどうなっていたか分からない。供給開始以来の配合製品数は累計で1,000以上を数えるという。
シャンピニオンエキスは、口臭や便臭など、体内で生じる臭いをケアする健康食品素材として認知されている。その中で、機能性表示食品の機能性関与成分としては現在、以下のヘルスクレームが届け出されている。
「マッシュルーム由来ポリフェノールには、腸内腐敗産物として知られているアンモニア、p-クレゾールを減らすことで、腸内環境を良好にすることが報告されています」。
シャンピニオンは仏語で「キノコ」の意味。ハラタケ科のキノコであるマッシュルームに含まれるポリフェノールに、アンモニアなどを減らす機能があることを見いだし、その含有量や活性などを標準化したのがリコムのシャンピニオンエキス。米国など海外では、『CHAMPEX(シャンペックス)』のブランド名で流通していて、日本でも、ここにきて同社が商標登録した『CHAMPEXシャンピニオンエキス』を全面に打ち出すかたちのブランド戦略が進められている。
臭いに対する有用性を直接的に訴求することは今のところ困難。ただ、リコムのシャンピニオンエキスのヘルスクレームで「減らす」と言及されているアンモニアやp-クレゾールといった腸内腐敗産物は、食事を通じて体内に取り込まれた栄養素などから腸内細菌が作り出すもので、口臭や便臭などの原因になると考えられている。
腸管に障害を与えて腸内環境を悪化させる原因になるとも考えられているアンモニアなどの腸内腐敗産物を減らすことで腸内環境を良好にする、というのがシャンピニオンエキスの現行ヘルスクレーム。臭いケアを訴求することはできないものの、届出に向けた動きはしっかり見られている。新型コロナ禍で着用が常識化したマスクを外していく人がどれだけ現れるかは未知数だが、「今後に期待している」と同社では話す。
体重など減少機能はエノキタケ由来成分で
キトグルカンも、食用キノコを原料したものだ。いわゆるダイエット素材として人気を博した経緯がある。現在、機能性表示食品対応素材として、次のヘルスクレームで届け出が進んでいる。
「肥満気味な方の内臓脂肪・体重・BMIを減少させる機能があることが報告されています」。
原料はエノキタケ。機能性関与成分はエノキタケ由来脂肪酸。脂肪酸とは具体的にリノール酸とα-リノレン酸の2つ。現在までに取り下げを除いて10件が届け出されており、届出件数を大きく伸ばしている機能性関与成分、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンと組み合わせた届出も複数見られる。
キトグルカンも海外で販売されている。ロックダウンの解除を受け、中国などからの引き合いも増えてきたという。今後、国内で製造された配合製品の海外輸出が進んでいくこともありそうだ。
【石川太郎】
(冒頭の写真:リコムが届け出たシャンピニオンエキス配合機能性表示食品のパッケージ)
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都豊島区南池袋2-26-5 I&E池袋ビル
TEL:03-3988-3015
URL:http://www.j-ricom.com/
事業内容:機能性食品素材の研究開発・販売
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