特商法・預託法改正へ、検討委員会が初会合~消費者庁
<インターネット通販も問題視>
消費者庁は18日、「特定商取引法および預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の初会合を開き、特商法と預託法の改正に向けた検討に着手した。今夏までに結論を取りまとめる。来年の通常国会への法案提出を視野に入れている。
同検討委員会は、消費者団体や業界団体の関係者、学識経験者などの15人で構成。東京大学名誉教授・青山学院大学法務研究科教授の河上正二氏が委員長に就いた。
近年、判断能力が低下した高齢者や、社会経験が浅い若年層を狙った悪質商法が増加。特に、ジャパンライフ事件などで「販売預託商法」の問題がクローズアップされた。また、インターネットの普及に伴って、デジタル・プラットフォーム企業をめぐる消費者トラブルも急増している。
そうした状況を踏まえ、同委員会は、(1)悪質な販売預託商法への対策、(2)消費者の脆弱性を狙った悪質商法に対する法的規制強化、(3)被害者救済の対応策――を柱に検討する。
初会合で消費者庁は対策の方向性を示した。販売預託商法では、消費者が購入または預けた商品が存在しなかったり、預けた商品の運用先がなかったりするケースがある。問題が表面化するまでに時間がかかるため、多数の被害者を出す傾向にある。消費者が適切な事業かどうかを判断するために、広告・表示や勧誘時の説明に関するルール化、事業者による記録・資料の管理に関するルール化などを課題に挙げた。
高齢者や若年層を狙った悪質商法については、被害拡大を迅速に防ぐための対策を検討する。また、被害者救済の強化へ向けて、預託法でも契約取消のルール化や、適格消費者団体による差止請求権の設定が必要との考え方を示した。
河上委員長は、「ケフィア事業振興会やジャパンライフの事件では巨額の被害が出た。制度的な対応が必要かどうかを議論している場合ではなく、どうすれば消費者を守れるか、被害を回復できるかについて集中的に議論したい」と意欲を見せた。
各委員からは、インターネット通販の広告・表示も検討課題に挙げるべきという意見が相次いだ。オブザーバーで出席した(独)国民生活センターの松本恒雄理事長は、お試し・定期購入トラブルの問題を取り上げ、「特商法上の義務付けを強化したが、実態として(トラブルは)減っていない」と述べた。脱法的な行為が横行していると指摘し、特商法の規制強化が求められると訴えた。
(写真:挨拶する衛藤消費者相(左から2人目))