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消費者庁、次長通知改正へ向けて会合 経口補水液の許可表示をめぐり意見交換

 消費者庁は22日、「特別用途食品の許可等に関する委員会」をオンラインで開催した。常任委員で東京農業大学総合研究所の石見佳子教授が委員長を務めた。消費者庁からは、依田學食品担当審議官、食品表示企画課保健表示室の今川正室長らが出席し、特別用途食品制度見直し後の現状と課題、今後の対応についてオンラインで議論した。

 消費者庁は昨年5月、次長通知「特別用途食品の表示許可等について」を改正。許可基準型病者用食品の運用改善に向けて、新たに「経口補水液」の許可区分を新設した。今回の委員会では、制度見直し後における経口補水液をめぐる問題と今後の対応について消費者庁が報告。さらなる次長通知改正へ向け、専門家との間で調整が行われた。。

 特用の表示許可件数(商品ベース)は1月11日現在で114件。許可区分別で最も多いのが「えん下困難者用食品」の33件で、経口補水液は4件に過ぎないものの、来年5月末に向けて急ピッチで増えることが予想されている。

 将来的に許可件数の増加が見通される中、消費者庁はそのリスク発生を未然に防ぐための対策として、①許可の際に使用者が必要な場合には、医療関係者から情報提供や相談対応が可能とする体制を構築することが望ましい旨を指導する。それを次長通知にも明記していく。②業界に対して、業界内において経口補水液の販売流通に対する節度のある仕組みの検討を促していくとし、対応を求める販売場所として「スーパー」、「スーパーマーケット」、「コンビニ」の他、「インターネット販売」なども含めたいとした。

 これに対し、委員からはおおよそ次のような意見が述べられた。

委員A「販売ルート拡大が課題かもしれないが、病者用食品を適切に使用するためには医師、管理栄養士、薬剤師などが常駐するところで販売することが適切」

委員B「食事摂取基準で健常人が男性だと7.5g、女性だと6.5gという、健康であるためにはこうでなければいけないと定められている中、経口補水液は塩分をひたすら提供することになる。一方、経口補水液を健康に良いとして消費者庁が推奨することで、勘違いして摂取する人が絶対に出てくるだろう。
 しょっぱいけどこれ健康にいいのよねって言って飲みがちなのが、一般の考え方だと思う。そこの発症リスクという点で、不適切な使用は健康を損ねるということについて、徹底的に消費者に分かるようにしてあげなければいけない。それから、消費者庁としては許可はできるが規制はできないというのは問題。
 各企業が節度を持って適切に動いてくれればいいが、いっぱい売れるようにしようとなると、例えば自動販売機で売ったり、コンビニに並べたり、実際、いろんな通販のサイトでも手に入るようになっている。それに対しては、規制はできなくても指導し、指導した事業者からは「指導に対して我々はこういうふうに対応します」というような文書を出してもらって、その宣言を一般に公開するなどが必要ではないか」

委員C「一般の人が日常摂取した時のメリットとデメリットを明確に。例えばナトリウムは、例えば栄養素等表示基準値に占める割合を記載する。
現在販売されている一般飲料の名称をしないで欲しいという意見も理解できるのが、同一の名称を使用した上で、一般飲料との違いがわかるように工夫して商品化するのも方法としてよいのではないか。具体的にはパッケージの前面に『病者用』と大きく表示するなど」

委員D「糖尿病を専門としている医師としての立場からコメントしたい。こういった飲料の成分表示が100mlあたりで表示されているということが非常に悩ましいというか、患者に対して、とても分かりづらい。これらの製品は、一般のアクエリアスと比べると糖質量は非常に少ないが、100mlあたりの糖が1.5gで、1本に大体7.5g入っている。例えば1日2Lぐらい水を飲んでください言われた患者が、全てこれで賄うと、かなりの糖を摂取する。
糖尿病の患者は、糖の負荷によって非常に血糖が上がりやすくなるし、感染症の時などは余計に上がりやすくなるので注意が必要。同じ名前のアクエリアス、こちらは糖が非常に多くて1本に20g以上入っている。この製品が消費者庁から認められるということであれば、それぞれの特徴をしっかり教育していただく必要がある」

委員E「マークを利用して分かりやすく伝えることも大事」

 また、特別用途食品として経口補水液に申請した製品に対する対応以外にも、現在、許可を得ずに、経口補水液と表示している飲料の一部が特別用途食品に移行することなく、名称を変えて販売を続けるというケースに対する消費者庁の対応について指摘が行われた。

 現在の次長通知では、特別用途食品(以下、特用)の許可を得ずに「経口補水液」と表示した場合は、健康増進法第43条第1項および第65条第1項違反に当たるため、許可を得ずに同表示を行っている既存の清涼飲料水の取り扱いについては、来年5月末までに許可基準型の表示許可を取得するなど必要な対応を速やかに講じることとされている。
 消費者庁は、5月を過ぎてもそのような状態が続いた場合は改めて検討するが、来年5月までの間は引き続き、事業者に表示許可の取得を促していくとしている。

 今回の審議結果を整理後、消費者庁は委員の意見を参考にし、早ければ年度内に次長通知の改正を行いたいとしている。

【田代 宏】

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