機能性表示食品の届出表示にメス 景表法違反認定、さくらフォレストに措置命令
機能性表示食品の届出表示(ヘルスクレーム)を裏付ける科学的根拠が不十分であったのが景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁はきょう30日、健康食品などの通信販売事業を営むさくらフォレスト㈱(福岡市中央区、髙島励央社長)に対し、再発防止などを求める措置命令を行い、発表した。
機能性表示食品についてはこれまで、ヘルスクレームから逸脱した広告表示(はみ出し表示)が優良誤認に問われた例は過去にもあった。しかし今回、届出表示そのものに合理的根拠がないとして不当表示を認定したのは初めて。消費者庁は、ヘルスクレームを下支える科学的根拠そのものにメスを入れた。
同庁の発表によると、措置命令の対象商品は、同社として届出を行い、販売していた機能性表示食品『きなり匠』(機能性関与成分=DHA・EPA、モノグルコシルヘスペリジン、オリーブ由来ヒドロキシチロソール)および同『きなり極』(同=DHA・EPA)の2製品。それぞれ機能性関与成分の研究レビューをヘルスクレームの科学的根拠として届け出ていた。
同庁食品表示企画課によると、同社が届け出ていたのと同じ研究レビューを届け出ているものが多数ある。具体的にはDHA・EPAが31件、モノグルコシルヘスペリジンが14件、オリーブ由来ヒドロキシチロソール47件。これらの届出者に対し、同課では今後、追加資料などの提出を求める、という。
さくらフォレストは同日、当該2製品の届出を取り下げる手続きを行った。また、「お詫びとお知らせ」を自社ECサイトで公表。措置命令を受けたことを厳粛に受け止め、「再発防止のため厳粛に表示方法の見直しを図り、管理体制の一層の強化に努める」としている。
さらに同社は取材に対し、今回の違反認定では研究レビューの合理性が問われたことから、「専門的な知識を持つ有識者の協力を得つつ、合理的な根拠の一層の確認に努める」と語った。
【石川太郎】
(冒頭の写真:さくらフォレストに対する措置命令について記者に説明する消費者庁表示対策課関係者ら。異例だが、機能性表示食品など保健機能食品を担当する食品表示企画課も出席)