1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. 機能性表示食品いらないシンポ開催 医薬品成分配合『紅麹コレステヘルプ』に集中砲火

機能性表示食品いらないシンポ開催 医薬品成分配合『紅麹コレステヘルプ』に集中砲火

 きのう7月31日、機能性表示食品の問題点について食の安全・監視市民委員会(佐野真理子・山浦康明共同代表)がシンポジウムを開催した。サブタイトルは「え!コレステヘルプって薬じゃなかったの?」。
 重大な健康被害を引き起こした機能性表示食品『紅麹コレステヘルプ』のパッケージに表示された「悪玉コレステロールを下げる」という機能性表示を皮肉ったものだろう。会場とオンライン合わせて100人近い関係者が聴講したようだ。

 同委員会は機能性表示食品制度の廃止とともに、サプリメント(錠剤・カプセル・粉末・液剤等の形状の食品)全般を対象とした新法の制定を目指している。

今後の対応の問題点を指摘(佐野氏)

 佐野真理子氏は、機能性表示食品制度発足の経緯、同制度の仕組み、さらに保健機能食品とその他のいわゆる健康食品の違いなどについて詳しく説明。紅麹サプリメント事件を契機に見直しが始まった行政庁の今後の対応について、問題点を指摘した。
 健康被害情報提供の義務化について、「集めた情報は開示してほしい」、信頼性確保のための措置「検証事業の内容は公表してほしい」、消費者教育の強化「複雑な制度設計をしておいて消費者に勉強しろと押し付けるのはおかしい。もっと分かりやすい制度を作ってほしい」――と訴え、政府が示したさらなる検討課題については「どんどん進めてほしい」とした。

『紅麹コレステヘルプ』は違法医薬品(神山氏)

 「健康食品と機能性表示食品」と題して、同会顧問で弁護士の神山美智子氏が講演した。冒頭、現在も上告中の「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書(平成27年度)」の情報公開をめぐる行政文書不開示処分取消訴訟に言及。同氏はこれまでの経緯を紹介し、「いつかホームページで公開したい」と話した。

 食品衛生法第4条と医薬品医療機器等法(薬機法)第2条二を引用し、食品と医薬品の定義を紹介した。
 「医薬品とは、人または動物の疾病の診断治療予防に使用されることが目的とされているもので、医薬品の製造販売には厚生労働大臣の承認が必要。承認を得ていない医薬品は未承認医薬品と言って販売も広告もできない」と説明し、医薬品成分ロバスタチン(=モナコリンK)を機能性関与成分とする小林製薬㈱の『紅麹コレステヘルプ』は、「厚労省の承認を受けていない医薬品成分で悪玉コレステロールを下げると表示している。これは違法医薬品と言ってもいい」と問題視した。

 1994年の米国の規制緩和要請、OTO(市場開放問題苦情処理体制)が窓口となって日米間で行われた協議、ビタミン・ミネラル・ハーブの規制緩和、そして2000年4月に「医薬品の範囲に関する基準(無承認無許可医薬品の指導取締りについて)」(昭和46年薬発第476号)の改正によって錠剤・カプセル形状の健康食品が認められるまでを説明。その後もさまざまな規制緩和の中で、最終的にアベノミクスによる規制緩和が「紅麹サプリ」を地獄に突き落としたのではないかと述べた。

 食品にとって最も大切なことは安全の確保とし、そのために厚労省が取り締まるべき事案だと思うが「何となく消費者庁任せ」と批判した。
 「青カビが生えていたのを放置していたのは食品衛生法第5条『採取、製造、加工、使用、調理、貯蔵、運搬、陳列及び授受は、清潔で衛生的に行われなければならない』という原則に反する。これから消費者庁が検討する前に、厚労省が食品衛生法および薬機法に基づいて動かなければいけない」と語気を強めた。

 食品表示基準の分かりにくさも指摘した。「プリントアウトすれば10センチにもなる食品表示基準を読むのはむずかしい。普通の日本語でない法律用語で、消費者向けの法律が消費者に分からないように書いてあるのは全くの無意味」とバッサリ切り捨てた。

健康食品はいらない(原氏)

 「健康食品はいらない」と題して(特非)日本消費者連盟(日消連)の原英二運営委員は、保健機能食品、その他のいわゆる健康食品全ての健康食品を否定した(同氏の主張については、Wellness Monthly Report74号・8月10日刊の特集インタビューで掲載予定)。

 同氏はまた、7月5日付で消費者庁に送付した質問状に対する同庁の回答の内容を紹介した。
 「紅麹食品の有効成分とされるモナコリンKは、医薬品のロバスタチンと同成分で、モナコリンKの目安量とロバスタチンの処方量がオーダーは変わらないことが指摘されています。ロバスタチンの副作用として腎障害や肝障害の悪化も報告されているようですが、紅麹サプリメントによる健康被害がモナコリンKによって起きた可能性をどのように検討されていますか」という質問に対し消費者庁は、「小林製薬㈱が製造した紅麹製品による健康被害に係る原因物質と、その発生機序の究明については、厚生労働省において取り組んでいるものと承知しております」と回答。

 「紅麹サプリメントが機能性表示食品として登録されるにあたって、有効成分が医薬品成分であることを貴庁は認識されていましたか。有効成分が医薬品としても使われる成分であり、摂取量が処方量と大きく変わらない事例を他にも把握していますか。把握しているなら全て開示してください」との問いには、「届出をしようとする食品の機能性関与成分が、「食薬区分における成分本質(原材料)の取り扱いの例示」(令和2年3月31日付け薬生監麻発0331 第9号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)の別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれる場合を含め、当該成分本質(原材料)を機能性関与成分とする食品が、医薬品に該当しないことが不明確な場合は、届出確認時に消費者庁から厚生労働省に照会し、確認しています」と回答している。

【田代 宏】

(冒頭の写真:右から佐野、神山、原の3氏)

関連記事:日消連が質問状、消費者庁に紅麹サプリについて

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ