機能性表示食品『駿楽』の広告(前)
<根拠論文と広告内容の不一致の可能性を指摘>
機能性表示食品の広告で行き過ぎた表現が見られるとして、適格消費者団体の特定非営利活動法人消費者ネットおかやま(河田英正理事長)と、販売会社の(株)元気堂本舗(東京都港区、植松芳治代表)の間で「質問書」のやり取りが続いている。
問題となっているのは、山陽新聞に掲載された機能性表示食品のサプリメント『駿楽』の広告。「右ひざに違和感 歩こうにも足が…」、「杖がないと不安だったのに」、「ひざのつらさが消え、戻った夫婦の笑顔」、「年齢が年齢なので、若い頃のようには歩けないだろうと覚悟してました」などと表示していた。
一方、消費者ネットおかやまでは根拠論文を検証した結果、次のように整理している。
「同論文の研究目的は、膝関節に問題を抱えていない健康な者における激しい運動による関節機能と関節痛の緩和における非変性2型コラーゲンの有効性を評価すること」(2はローマ数字)。
「関節炎疾患や安静時の関節痛の既往歴がなく、身体活動に伴う関節の不快感を経験した健常人を対象に実施された」。
「40ミリグラムの非変性2型コラーゲンを毎日摂取(90日間~120日間)した場合、健康な被験者における膝関節の伸展の改善をもたらし(プラセボと比較して膝の可動域が6度から7度改善されました。)、痛みのない激しい運動の期間を延長し、時折そのような活動から生じる関節痛を軽減する可能性を示した」。
新聞広告を見た場合、膝関節に問題を抱えている人が摂取すれば改善効果があると認識すると考えられるが、研究は膝関節に問題を抱えている人を対象としたものではないと指摘。このため広告は、実際のものよりも著しく優良であると示す表示に該当する可能性があるとしている。
消費者ネットおかやまは、3月14日付で同社に「質問書」を送付。使用した根拠論文や広告の表示内容について質問した。これに対し、同社は4月9日付で回答書を返送。そのなかで、論文は膝関節に何らかの違和感を訴える健常者を対象とし、「査読付き論文であり、研究デザインが二重盲検ランダム化コントロール試験(RCT)であるため、エビデンスの質としても不足はないかと存じます。尚、当研究論文を根拠とする表示につきましても、消費者庁に御指導を賜り、避けるべき表現の使用は控えるように努めております」と説明している。
取材で消費者ネットおかやまは、提出を求めた追加資料の到着を待って、「検討委員会で検討した上で、理事会で今後の対応方針を決定する」(事務局)と話している。一方、同社は取材に応じなかった。
(つづく)