検証事業報告書、改めて読み解く必要 GNG武田氏、WNGセミナーで強調
㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区)は29日、㈱グローバルニュートリショングループ(同豊島区)の武田猛代表(=写真)を講師に迎えたセミナー「機能性表示食品制度、新ステージに ~届出アドバイザー養成講座<動画>ポイント解説~」をオンラインで開催、健康食品業界関係者など約90人が参加した。
この日のセミナーは2部構成。第1部では、機能性表示食品制度を取り巻く最近の動きを武田氏が解説。機能性表示食品の科学的根拠に厳しい視線を注いだ日経クロステック記事に触れたうえで、消費者庁が実施した機能性表示食品に関する「検証事業」の報告書を改めて精読、分析する必要があると指摘した。
「研究レビューの質」など2つの検証事業報告書
検証事業について具体的には、「機能性に関する科学的根拠の検証-届け出られた研究レビューの質に関する検証事業」と「臨床試験及び安全性の評価内容の実態把握の検証・調査事業」の2つ。いずれも報告書は同庁のホームページからダウンロードできる。
武田氏は両報告書について、これまでの届出ガイドラインや質疑応答集(Q&A)の改正に影響を与えてきたと指摘。同庁が2020年4月に運用を開始した、いわゆる「事後チェック指針」の科学的根拠に関する事項に関しても「影響を強く受けている」とし、誤った届出を行い、事後に問題となる事態を回避するためにも、「検証事業報告書を正しく読み解き、すぐにも活用することが重要だ」と説いた。
また、20年に改定された「PRISMA声明」にも言及。私見だと断った上で、「そう遠くない将来、届出ガイドラインに反映される可能性がある」と述べた。
PRISMA声明は、システマティック・レビュー(SR)の質の向上を目的にした国際指針。現行の届出ガイドラインでは、研究レビューの記載について、09年版のPRISMA声明チェックリストへの準拠を求めているが、今後、20年版への準拠が求められるようになる可能性があることを、武田氏は伝えた格好だ。アカデミアにおいて、「PRISMA声明2020は、同2009に置き換わるものであり、もはや使用されるべきではない」との見方が挙がっていることも知らせた。
届出アドバイザー養成講座、「格好いい届出」目指すために
一方、第2部では、武田氏が講師を務める「機能性表示食品届出アドバイザー養成講座」(主催:一般社団法人ウェルネス総合研究所)のポイント解説を行った。
ウェルネスニュースグループでは、現在、今年6月に都内会場でリアル開催された、届出アドバイザー養成講座の最新版の全編を収録した動画のオンデマンド配信(有料)を行っている。
届出アドバイザー養成講座は、機能性表示食品制度に関する正しい知識を身に付け、機能性表示食品の届出について適切に助言、指導できる人材を幅広く育成することを目的にしたもの。講座を受講し、定められたカリキュラムを修了した人は、主催のウェルネス総合研究所から、「機能性表示食品届出アドバイザー」として認定される。
武田氏は講演で、届出アドバイザーが在職する企業は、現在までに、中小から大手まで20社超に上ることを紹介。また、受講者からは、「チェックすべきポイントが理解できた」、「あまり注視していなかったところが重要な項目であることを知った」、「ガイドラインに準拠することに意識が向いていたが、制度は時代や状況とともに変化する。それを見据えた準備が必要であることを痛感した」などといった声が、これまでに寄せられていることを伝えた。
武田氏が届出アドバイザー養成講座を通じて最も伝えたいことは、「格好いい届出」を全ての届出者が目指すべきである、ということだという。「不安のあるまま届け出るのではなく、『当社はここまでやったのだ』という届出をぜひ進めていただきたい。そうすることで、業界全体の底上げにつながる」と述べ、講演を終えた。
関連記事:武田猛氏「届出養成講座」の動画配信 ウェルネスニュースグループが販売開始
:【オピニオン】事後チェック指針 が引き上げた科学的根拠のレベル