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森下・武田両氏が機能性表示食品をテーマに講演

 ㈱アイメックRD(東京都中央区、大澤裕樹社長)は1日、業界研究セミナーをオンラインで開催した。同セミナーは、食品臨床試験、治験における業界情報について、アカデミア所属の研究者を中心とした講演者を招き、さまざまな視点で情報を提供している。今回はその第5回目。

 ㈱グローバルニュートリショングループ代表取締役の武田猛氏は、「海外ヘルスクレーム制度と機能性表示食品制度~その先進性と可能性について」をテーマに講演した。機能性表示食品制度は、試験(研究)デザインを工夫することで新しい表示に挑戦できるとして、「特にP(Participants:誰に)とO(Outcome:どうなるか)の組み合わせで可能性が広がる。Pを制限することで、困難なOの表示が可能になる場合がある」と説明した。

 また、機能性表示食品制度は常に変化、進化、高度化しているとし、「検証事業の報告書は、その後の届出書類確認内容に大きな影響を与えている。ガイドラインだけでなく、同時に改正された質疑応答集、昨年公表された事後チェック指針も精読、分析が必要」と話した。しかし、「新成分や新機能が必ずしも難しいわけではない、乗り越えなければならない壁はあるものの、十分、新しいことに挑戦できる制度。世界的に見てもこれほどユニークで、透明性の高い制度は無い」と述べた。

 最後に武田氏は、機能性表示制度はサイエンスと法規制、ビジネスの3つのバランスが重要だとして、「サイエンスとしての適性、法規制の順守という条件を満たしつつ、かつビジネスとしての機会を最大化できる現実的なポイントがどこにあるのを自ら見極め、自らの責任をもって判断することが重要」と話した。

 大阪大学大学院医学系研究科、臨床遺伝子治療学教授の森下竜一氏は、「機能性表示食品届出制度における免疫の現状総括とこれからについて」をテーマに講演した。最初に森下氏は、2020年に定められた、第二期健康医療戦略について解説。「健康な食、地域資源を活用し、食品の機能性が表示できる制度を適切に運用すると同時に、科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じ保健用途における新たな表示の実現を目指す。また消費者の理解増進のための消費者教育を充実させる」と説明した。

 「プラズマ乳酸菌を機能性関与成分とした届出が公表されたが、機能性表示食品の場合、自然免疫と獲得免疫の違いやメカニズムを説明しつつ、病気の予防ではなく、健康の維持・増進を目的としなければならない」と話した。また、免疫の機能性表示に向けての課題として、「何をもって“免疫力が上がった”、“免疫を調整”と言えるのか、1つの免疫細胞の活性化だけでは不十分」として、「樹状細胞の活性化に加え、食細胞活性、NK細胞活性、T細胞増殖性・活性化なども免疫指標として有用。これらの免疫指標が複数動いていることが望ましい」と話した。  
「また、用いた指標が免疫全体を調整することを科学的に説明できることが重要であり、科学的に免疫全体を調整する作用機序を記載することが必要」と述べた。

 また、口腔ではIgAが働き、感染予防の要の役割を担うとして、「唾液・IgAでしっかりとブロックすることで、細菌の付着、ウイルスの体内への粘膜からの侵入を防ぐことができる。しかし、IgAはあくまでも入口の防御に過ぎないため、単体での届出は難しい。他の何かとの合わせ技が必要」と解説した。
 さらに、「免疫に対するデータをもつ食品素材として、各種ビタミン、ミネラル、ビフィズス菌、乳酸菌、ラクトフェリンなどがあるが、これらのなかからも、機能性関与成分として受理されるものが、近々出てくるのではないかと期待している」と述べた。

【藤田 勇一】

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