東洋新薬、独自素材を外部企業に 【機能性表示食品特集】食品・飲料メーカーを支援
機能性表示食品、その中でも特に、サプリメント以外の加工食品(一般食品)向けでの原材料販売に力を入れている企業がある。㈱東洋新薬(服部利光社長)だ。健康食品などの受託開発・製造(OEM/ODM)で知られる同社だが、2020年に原材料販売事業を新たに立ち上げ、独自開発した機能性表示食品対応素材を中心に、食品・飲料メーカー等に対する提案活動を展開。同社で取り扱う原材料について情報提供するウェブサイトも運用している。
葛の花エキスから大麦若葉末まで原材料販売
葛の花エキス、フラバンジェノール、ターミナリアベリリカ、大麦若葉末──いずれも同社が独自に開発した機能性表示食品対応素材だ。同社では現在、これら全てについて原材料販売を展開するのと同時に、機能性表示食品の届出サポートに対応している。
同社のメイン事業は、最終商品のOEM/ODM。その枠組みにおいて独自素材の研究開発に力を入れてきた。同事業における差別化、つまり競合他社にはない強みを打ち出すのが目的だった。そのために少なからぬ費用を投じて開発してきた同社にとってのいわば「虎の子」は現在、同社の原料営業部を通じて外部に供給されている。
「機能性表示食品に対するニーズが高まっている中で、当社で受託させてもらっている商品以外にも配合商品が市場に広がっていくことは、それ自体が当社独自素材のブランディングやマーケティングになる。消費者の(健康維持・増進に関する)ベネフィット拡大にもつながる」。独自素材を外販する狙いについて同社の髙垣欣也取締役副社長はこう話す。
清涼飲料水等の機能性表示食品開発をサポート
各素材についてどのような機能性表示が可能なのかは、別掲(冒頭)の図を参照してもらいたい。この図には、現在のところ機能性表示食品に対応していない素材や他社が開発したものも含まれるが、どれも同社から原材料として調達が可能な素材。例えば、ここにきて特にサプリメントの機能性表示食品用途で採用件数が増えているターミリアベリリカ(機能性関与成分:ターミナリアベリリカ由来没食子酸)では、中性脂肪、血糖値、内臓脂肪に対する働きを訴求できる。
また、5月に新たなヘルスクレームが追加されたのは、青汁の原材料として知られる大麦若葉末(同:大麦若葉由来食物繊維)だ。もともと便通を改善する機能、そして腸内環境を改善する(善玉菌である酪酸菌・乳酸菌を増やす)機能を訴求できていた中で、「肌のうるおいを維持して肌の健康を守るのを助ける機能」が新たに加わった。そのうち腸内環境改善と肌の健康については1日あたり摂取目安量が0.7グラム(食物繊維として)と低用量化されており、同社では、「うどんなどさまざまな食品に配合することができ、日々の食生活により取り入れやすくした機能性表示食品の開発が可能だ」とする。
葛の花エキスやターミナリアベリリカ、フラバンジェノールにしても、「ドリンク類を中心にさまざまな食品形態に配合しやすい」と同社は強調。実際、いずれも大手を含む飲料・食品メーカーが採用、清涼飲料水などの機能性表示食品として流通されている。
なお、別掲の図は、同社が運用する食品・飲料の研究開発者や購買担当者向け情報サイト『原料・素材ナビ』から引用した。同サイトでは、同社で取り扱う機能性食品素材の概要から学術情報まで無料で閲覧できる。これまでに同社が発表してきた学術論文の一部について、全文を読むこともできる。
(冒頭の画像:東洋新薬が原材料販売を手掛ける主な素材と対応機能。同社が運用する事業者向け情報サイト「原料・素材ナビ」より)
<COMPANY INFORMATION>
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TEL: 0942-81-3555(本部)
URL: https://www.toyoshinyaku.co.jp
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事業内容:健康食品・化粧品・医薬品・医薬部外品の受託製造