東京都、健康食品試買調査結果公表
102製品に法令違反か法令違反の疑い
東京都が行った健康食品の試買調査で、126品目中102品目に違反または違反の疑いのある表示が見つかった。29日に東京都が発表した2021年度「健康食品試買調査結果」で明らかになった。
調査対象は、健康食品売場などの販売店で購入した46製品と、インターネットなどの通信販売で購入した80製品。用途ジャンル別に任意に買い上げた。買上商品にトクホや機能性表示食品は含まれていない。
ジャンルは「美白・美容・美肌」20品(販売店7・インターネット13)、「痛み・炎症の緩和」7品(販売店3・インターネット4)、「骨・筋力サポート」5品(販売店3・インターネット2)、「ダイエット効果」16品(販売店2・インターネット14)、「抗糖化・エイジングケア」14品(販売店4・インターネット10)、「男性機能向上」20品(販売店10・インターネット10)、「女性向け」4品(販売店2・インターネット2)、「免疫力増強」15品(販売店6・インターネット9)、「脳機能改善」5品(販売店3・インターネット2)、「育毛・発毛」6品(販売店1・インターネット5)、「健康茶」6品(販売店3・インターネット3)、視力回復」5品(販売店1・インターネット4)、「その他」3品(販売店1・インターネット2)の合計126品。
上記の製品群についてそれぞれ、食品表示法(食品表示基準)、食品衛生法(添加物等基準)、健康増進法(健康の保持増進効果に関する表示)、医薬品医療機器等法(医薬品的効能効果の標ぼう)、景品表示法(不当表示)、特定商取引法(広告規制)などの規定について順守しているかどうか調査した。
102品目に違反または違反の疑い
調査の結果、「美白・美容・美肌」16品、「痛み・炎症の緩和」5品、「骨・筋力サポート」4品、「ダイエット効果」15品、「抗糖化・エイジングケア」11品、「男性機能向上」17品、「女性向け」3品、「免疫力増強」9品)、「脳機能改善」5品、「育毛・発毛」5品、「健康茶」5品、「視力回復」4品、「その他」3品にいずれかの法令に違反、または違反の疑いのある製品が見つかった。
食品表示法上疑いのある製品81品目
具体的には、食品表示法上「原材料と添加物が明確に区分されていなかった」、「食品衛生法で既存添加物とされている物質を、原材料に混在して表示していた」、「表示が欠落していた」、「容器包装に邦文表示がなかった」、「一括表示が正しく表示されていなかった」、「食品表示基準で定められた別記様式を用いた表示がされていなかった」、「添加物が正しく表示されていなかった」、「物質名のみが記載されており、用途名である『着色料』が併記されていなかった、「製造所又は加工所の情報が正しく表示されていなかった」、「表示内容に責任を有する『食品関連事業者の氏名又は名称及び住所』は表示されていたが、『製造所又は加工所の所在地及び氏名又は名称』が欠落していた」、「栄養成分表示の任意表示事項が正しく表示されていなかった」、「容器包装に『ナイアシン』、『葉酸』の表示があるにもかかわらず、栄養成分表示に『ナイアシン』と『葉酸』の表示がなかった」、「栄養機能食品の必要表示事項が欠落していた」、「『栄養成分の機能』、『摂取する上での注意事項』の表示がされていなかった」など。
特商法上疑いのある製品25品目
特定商取引法では、「『申込み最終確認画面』に返品に関する事項が表示されていなかった」、「返品に関する事項(返品の可否、返品の期間等の条件、返品送料の負担の有無など)が、『申込みの最終確認画面』に表示されていなかった」、「定期購入の場合の表示事項が明瞭に表示されていなかった」、「購入者から解約の通知がない限り継続される無期限の契約である旨や、2回目送付分以降の商品の価格、送料などが表示されていなかった」。
健増法上疑いのある製品4品目
健康増進法上、健康保持増進効果等の虚偽誇大表示に該当するおそれのある表示の事例としては、著しく事実に相違するか人を誤認させる恐れのある表示が見つかった。例えば、スリムな女性のイラストとともに商品説明として、「酵素のパワーで消化と代謝を促進 脂肪を溜めない!」、「解毒作用」、お客様の声として「約半年間で○kg の減量に成功」、「食事制限一切なし」などと表示していた。また、商品を摂取するだけで痩身効果が得られるかのような誤認を招く恐れのある表示もあった。
景表法上疑いのある製品27品目
景品表示法上、消費者の自主的かつ合理的な商品選択を阻害する恐れのある表示が目立った。例えば、優良誤認に該当するおそれのある表示として、「美味しく食べて楽々ダイエット」等の効果を裏付ける合理的根拠がないおそれのある表示や「リピート率№1」等と客観的な実証のないおそれのある表示をし、商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招く恐れのある表示があった。
薬機法上疑いのある製品78品目
薬機法上では、医薬品として承認を得たものではないにもかかわらず、疾病の治療または予防を目的とする効能効果、例えば「心筋機能の正常化」、「うつ症状を改善」、「高血圧の緩和」、「月経前症候群の症状の緩和」、「骨粗しょう症の予防」、「風邪予防」、「歯周病予防」、「がん予防」、「白内障、緑内障、加齢黄斑変性の予防」、「結石の予防と除去」など。
さらに、身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果として「血中コレステロール分解」、「フリーラジカルの活動抑制」、「薄毛改善」、「育毛」、「脂肪代謝改善」、「抗炎症作用」、「免疫力アップ」、「強心作用」、「放射性物質の排出を促進」、「尿酸排泄」などがあった。また、医薬品成分「シルデナフィル」、「クロトリマゾール」、「センナ葉」を含む3製品も見つかった。
東京都は不適正な表示を行った事業者には改善の指導を実施するとともに、消費者への注意喚起を行い、健康食品を摂取する際に「健康食品手帳」の作成を勧めている。
※品目数は複数の法令にまたがっているため、合計した数は102品目より多くなっている。